超・徹底解説 BMW 5シリーズ
公開 : 2017.01.12 05:50
自動運転機能にいても言及しておくべきだろう。70〜180km/hでの車線変更は、ウインカーを出せばクルマが勝手にやってくれる。操舵はもちろん、必要に応じて加速や減速も行ってくれるが、いずれも上出来だ。
ただし、手放し運転を許容するのはごく短時間で、すぐにステアリングホイールを握るよう警告が発せられる。
試乗車はアダプティブダンパーを装着していたが、これは英国市場では£985(14万円)のオプション。完成度は高く、市街地でもより開けた道路であっても、コンフォート・モードでは先代の同等仕様より安楽な乗り心地を提供してくれる。
これをスポーツ・モードに切り替えると、540iはたちまち生き生きと走り始める。スロットルからエンジン、トランスミッション、ステアリング、そしてサスペンションと、走行メカニズムが軒並み運動性重視のセッティングに切り替わり、快活にして精確、そして夢中になれる走りと、少なくとも後輪駆動モデルなら、エンターテイメント性も発揮してくれるのだ。
公式スペックでは、540iの2WD版の0-100km/h加速は5.1秒。これは先代535i比0.7秒の短縮だが、これは掛け値なしだろうと確信できる走りっぷりだ。
それも、エンジンとトランスミッションの絶妙な調和あればこそ可能となるもの。パワーデリバリーはクリーミーなまでにスムースで、指摘するほどのターボラグは感じられない。むしろ、極めてリニアだといいたいほどだ。
全回転域でトルクの谷は見受けられず、レッドゾーン付近でもフレキシビリティは損なわれない。ZF製ATの変速は、アップでもダウンでも素早いばかりでなく驚愕のスムースさも兼ね備えている。
予測できたことだが、スポーティな走行モードでも重すぎることはなく、それでいてダイレクト感にも満足できる。試乗車が備えていた後輪操舵システムも、ハンドリングの向上に貢献。敏捷性を高め、舗装の悪い田舎道をハードに攻めたなど、夢中になるようなドライビングを味わうことができる。