アウディA3/S3 ―― 国内最速試乗
公開 : 2017.01.26 02:50
新型アウディ S3試乗記
まっさきに試乗したのはアウディ S3 スポーツバックだ。これは楽しさに満ちたすばらしいクルマだ。
深みのあるディープ・ブルーの車体色に、美しい輝きを放つクロームで縁取られたグリルと、アルミニムのカバーを持つドラ・ミラーがひときわ目をひくモデルである。
小型エンジンが290psを発揮
最大の特徴はエンジンだ。1984ccの4気筒ターボはパワフルな290psの最高出力と38.8kg-mの最大トルクを誇る。
アウディ S3 スポーツバックとアウディ S3セダンのSトロニックはアウディ A3と異なりハイ・パワーに対応するため湿式となる。これも特筆すべき点だ。
スポーツバックは外観からすると美しい腕時計やアクセサリーを思わせるかもしれない。オプションのレザー・シートも芸術的な造型だ。しかし中身は静的でない。内部から爆発するような、熱い血が通う活気ある生き物といってもいい。
何より「快音」 ディテールも走りを想起
スターター・ボタンを押してエンジンに火を入れ、軽くアクセル・ペダルを踏んでみるといい。右足の動きに即座に反応するエンジン回転がさっと上がる。そしてそのときに乾いたエグゾーストの快音が響く。走り出す前からアウディ S3のスポーティな世界に取り込まれてしまう。
レースカーを思わせるような複雑なグリップ形状はどんな場面でも車両の操作性を失わせない。しっとりとした手触りは滑りにくという機能性に加え、握っているだけで気分が高揚してくる気持ちのよさである。
上質な革巻きのステアリング・ホイールは意外なほど軽い。しかし車体の反応は速い。かりにいうなら5cmだけ進路をズラしてみようとしたら、車体は正確にそのとおり動いているくれるような印象だ。
運転している自分との一体感はよく出来たスポーツカーのようだ。
シフト・レバーを左に倒すと自分でシフト・アップとシフト・ダウンが出来るマニュアル変速モードになる。これは絶対に試すべきだ。
アクセル・ペダルを少し強めに踏み込んだだけで、エンジンはレッド・ゾーンまで軽快に回る。しかもこのときに乾いた破裂音のようなエグゾースト・ノートが耳に飛び込んでくる快感たるや。
外観は質感の高いハッチバック(あるいはセダン)なのに、こんな楽しくていいの? と嬉しくなってくる。
アウディ S3 スポーツバックは走りをとりわけ楽しませてくれるモデルだが、このモデルぜんたいにはもひとつの大きな魅力がある。先進技術が堪能できるのだ。