アウディR8スパイダー ―― 国内試乗&徹底解説
公開 : 2017.07.13 11:10
なめらかで鋭いV10ユニット
ミッドに搭載されるエンジンは、5.2ℓ仕様のV型10気筒自然吸気。540ps/55.1kg-mの最高出力/最大トルクを誇る一方、アイドリングストップやシリンダーオンデマンド、コースティングといった環境性能を高めるための機能も導入されている。
組み合わせられるミッションはデュアルクラッチ式の7速Sトロニック。駆動方式はセンターデフに電子制御多板クラッチを採用したクワトロとなる。
540psのパワーは、このR8スパイダーには十分なものだ。スパイダーにもクーペと同様に、さらに70ps/2.0kg-mが上乗せされる「Plus=プラス」の設定をというリクエストも皆無ではないだろうが、実際にR8スパイダーのアクセルを踏み込んでいくと、その加速の鋭さには改めて驚かされる。
V10エンジンの吹け上がりは実にシャープで、そのスムーズさとともに、最近では少数派となりつつある、自然吸気のマルチシリンダーエンジンの魅力というものを再確認することができる。
ダイナミックモードをセレクトしてドライブしたワインディングロードは、実に楽しいシチュエーションだった。
とりわけ印象的だったのは、ステアリングを切り込んだ瞬間から感じるターンインのスムーズさ。ノーズの動きは常に正確で、さらにコーナーの途中からアクセルペダルを踏み込めば、その先にはクワトロならではの、圧倒的なトラクションを伴った刺激的な加速が待っている。
かつてのクワトロ、そして現在のアウディ・スポーツは、これまでR8をベースとしたGT3マシンを世界中のカスタマーチームにセールスし、多くのシリーズでそのレーシングカーとしての戦闘力の高さを証明してきた。
そしてこのレース活動から得られたさまざまな技術的なノウハウは、確実にロードモデルのR8へと継承されているのだ。それはR8スパイダーの走りからも、容易にイメージできるところだ。
0-100km/h加速で3.6秒、そして318km/hの最高速は、ウエイトがさらに軽量な、クーペのそれと比較しても遜色のないもの。
R8シリーズの中で、スパイダーはこれからますます、その存在感を強めていくに違いない。