アウディTT RS ―― 国内試乗&徹底解説

公開 : 2017.07.29 06:10

■アウディTT RS試乗記

アウディ・スポーツの意図とは?

眼前にあるステアリングホイールに手をのばせば、3時と9時の位置に配されたアルカンターラの感触に左右の掌が喜ぶ。それだけでもう脳内からなにやら快楽物質が湧き出る。GT3と同じ感触ではないか!

フラットボトムのステアリングホイールの3時の位置のスポークの根元に設けられた赤いスターターボタンを押してみよう。

そこが地下駐車場だったりしたらたいへんなことになる。ヴォンッ! 爆裂音が壁と天井に反響する。こいつはスーパーカーか!? コンパクトなサイズに似合わぬ爆音がエグゾーストから発射され、TT RS劇場が幕を開ける。

乗り心地は硬い。なぜといって、このボディにして255/30ZR20という巨大かつ超薄型のゴムをつけているからだ。

そりゃあ、あなた、官能度はおのずと増すってもんです。つけてないみたいです。ってことはないにしても。銘柄はあのピレリPゼロ。フェラーリF40とともにこの世に現れた、これぞスーパースポーツのためのゴムですぞ。

ちなみに同じMQBプラットフォームを共有するアウディRS3と比べると、RS3の車両重量が1560kgあるのに対して、TT RSは1490kgと70kgも軽く仕上がっている。

それも、RS3は19インチの235/35を標準としているのに、である。ここにスタイリングだけではない、スポーツカーとしての性能差と乗り味をTT RSに与えようというアウディ・スポーツGmbHの意図を垣間見ることができるとは言えまいか。

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