アウディTT RS ―― 国内試乗&徹底解説
公開 : 2017.07.29 06:10
■エンジン
2.5ℓ直列5気筒直噴ターボ
80年代にWRC(世界ラリー選手権)を席巻した初代アウディ・クワトロのDNAを受け継ぐ名機、と位置付けられているのが、MQB系RSモデルの搭載する2.5ℓ直列5気筒直噴ターボだ。
TTの場合、新たなターボチャージャーを備えて、最高出力は先代から実に60psアップの400psを5850〜7000rpmで、3.1kg-mアップした最大トルク48.9kg-mは1700〜5850rpmで発揮する。
今回、部品のダウンサイジングやアルミ製クランクケースの採用などの細かな設計の見直しで、エンジン単体で26kgの軽量化も実現している。
隣り合うシリンダーと離れたシリンダーを交互に点火する、1-2-4-5-3という点火順序から生まれる個性的なサウンドが、スポーツドライビングの愉しさを盛り上げる。
ボア×ストローク=82.5×92.8mmは2ℓ4気筒(アウディS3用とも通じる)と同一のロングストローク型ながら、圧縮比は10と、4気筒の9.6より高く、排気量が増えているのにより高回転型になっている。
それでいて中低速トルクに厚みがあって、回転もなめらか。アウディが誇るのも当然だ。
■シャシー
クワトロ・フルタイム4WDシステム
アウディの代名詞クワトロ・フルタイム4WDシステムは、小型軽量の電子油圧制御式多板クラッチをプロペラシャフトの後部に配置することで前後重量配分の最適化を図っている。
これをTT RSとしては初めて「アウディドライブセレクト」(コンフォート/オート/ダイナミック/インディヴィデュアルの4つのモードを選択可能)と強調制御することで、先代より緻密な制御を行う。
コーナリング時には狙い通りのラインをトレースするようにトルク配分を調節し、ドリフト状態になった場合でもESC(エレクトロニック・スタビライゼーション・コントロール)が内輪のブレーキを調整するというから頼もしい。
舵角が大きくなるほどレシオが速くなる「プログレッシブステアリング」はRS専用のチューニングが施されている。少なくとも違和感がない。
「マグネティックライド」はドライブセレクトを介して減衰特性を変化させることができるけれど、リアル・スーパーカーのこれは概ね硬めと申し上げて差し支えない。タイヤの標準は19インチの245/35。20インチのテスト車はなるほど硬派だった。