【サラブレッド】ジャガーEタイプ/Fタイプ 60年を経た「通有点」とは
公開 : 2021.03.29 11:55
優しさと力強さ Fタイプ真骨頂
本来であればFタイプとEタイプの両方をドライブするはずだったが、取材当日は不運にもEタイプのエンジンが機嫌を損ねてしまったため、実際にステアリングを握るのはFタイプ1台となった。
デビュー当時のFタイプは、そのシャシーもエンジン音もいかにも荒々しく、本気でコーナリングを攻めるにはそれなりの覚悟が求められた。
しかしときの経過とともに熟成を深めていった結果、いまでは洗練された身のこなしを示すようになっている。
もちろん、高性能スポーツカーであるからには足回りもそれなりに締め上げられているが、路面のギャップをスマートにやり過ごすマナーも手に入れた。乗り心地はスポーティサルーン並みに快適。市街地や高速道路を軽く流す範囲でいえばエンジンも極めてスムーズで扱い易い。
しかし、もしもあなたがワインディングロードに足を踏み入れ、そこでジャガーの威厳を示さなければいけないシチュエーションに遭遇した場合には、Fタイプは獰猛な肉食獣に豹変する。
スロットルペダルを右足で踏み込めば、V8エンジンはまるでドライバーの意思を素早く読み取ったかのように機敏な反応を示し、驚くようなペースで速度を積み重ねていく。
そしてしっかりとした踏みごたえのブレーキで正確に速度をコントロール。続いてフロントタイヤに適切な荷重を乗せながらステアリングを切り込めば、まさに狙ったとおりのラインをトレースしながらコーナーをクリアできる。
ときに従順に、そしてときにはダイナミックに。この優しさと力強さを兼ね備えたキャラクターこそ、Fタイプの真骨頂といえるだろう。
2つの特別仕様車が同時発表
そんなFタイプに、Eタイプの生誕60周年を祝う特別仕様車が用意されることになった。それも2モデル同時の発表である。
そのうちの1つは日本市場最後となるV6 3.0Lエンジンを積むRダイナミック P380がベースの「F-TYPE HERITAGE V6 EDITION」。タン・カラーのフルエクステンデッドレザー、原音を忠実に再現するメリディアン・サラウンドサウンドオーディオシステム、アクティブスポーツエグゾーストシステムなどを装備しており、日本限定30台が1398万円で発売される。
もう1台の特別仕様車は「F-TYPE HERITAGE 60 EDITION」。こちらはV8 5.0Lスーパーチャージド・エンジン搭載のRクーペ P575がベースで、そのボディはEタイプのオリジナルカラーで1960年代以降使用されることのなかったシャドーウッドグリーンでペイントされる。
しかも、こちらは世界30台限定で、日本で発売されるのは6台のみ。ジャガー・ファンにとって特別な1台となるのは間違いないだろう。
ちなみに価格はEタイプのデビュー年とあわせて1961万円に設定されている。