見た目の違い、控えめ されど大きな走りの違い スピードとV8 ベントレー・コンチネンタルGT 比較試乗

公開 : 2022.06.03 11:55

「わかっちゃないな」と一蹴できず

だからだろうAUTOCARの若きスタッフ2人は、そのエキサイティングなバブリングサウンドと軽快なハンドリングをして、「V8が好きだ」と言い放った。

「わかっちゃないな」と一蹴するのは早計で、これこそがベントレーの求める「Z.Generation」への期待であり回答なのだろうと直観した。

メッキトリムを廃して敢えてブラックアウトしたグリルや、カーボン製のサイドステップ、こぶりなガーニーフラップを見ると、確かに筆者の気持ちまで密かに若返ってくる。

われわれ大人たちが踏み荒らした世界を受け継ぐ立場として、Z世代はエシカルな企業を好む。

アクセルを踏み込めば荒々しいV8サウンドを放つ一方で、平時には4気筒を休止して環境負荷を減らす二面性を尊重する世代である。

彼らにとってモノ足りないのは今時のクルマたちが持つ巨大な液晶スクリーンでユーチューブを見られないことくらいだろうか?

それも電動化を伴うモデルチェンジの頃には当たり前のように得られるだろうから、老婆心ながらに言えば今はこの最後のピュアICEがもたらす世界観を、思い切り楽しんで欲しいと思う。

そして心とドライビングが成熟したら、ぜひW12スピードのステアリングを一度握ってみて欲しい。

それにはもうあまり時間はないけれど、コンチネンタルGTを愛機に選べる若者たちならば、それもきっと可能なはずである。

ベントレー・コンチネンタルGT全グレード 公式サイトをみる

記事に関わった人々

  • 執筆

    山田弘樹

    Koki Yamada

    1971年生まれ。自動車雑誌編集部に在籍し、その後フリーランスに。編集部員時代にレースをはじめ、その経験をちょこっと活かして執筆活動中。でも、スピードの出るクルマは実は苦手です。2017年暮れに意を決して、憧れ続けた空冷ポルシェ911(993)を購入。消耗品の高さに都度涙を流しながらも、基本的には幸せ満喫中。最初はおっかなビックリだったけど、過走行でもポルシェは頑丈でした。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

関連テーマ

おすすめ記事