そもそもスポーツカーとは? ポルシェ カイエンで検証 なぜカイエン? それは……

公開 : 2022.07.01 11:40

オーバーステアという「選択肢」

ローフリクションハンドリングトラック。その名のとおり路面の摩擦係数が低いこのコースでは、極限状況におけるハンドリングの特性を浮かび上がらせることができるが、ここでカイエン GTSは優れたグリップ力によりバツグンのスタビリティを発揮したうえで、最終的にはフロントよりもリアが流れ始めるオーバーステアの傾向を示したのである。

もっとも、これはもともと摩擦係数の低い路面で、故意にテールを滑らせるドライビングをした結果だが、最終的にオーバーステアに持ち込めるSUVが世の中にどれだけあるかといえば、ほとんど皆無としかいいようがない。

しかも、ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京の腕利きインストラクターの手にかかると、それこそすべてのコーナーでカイエン GTSはオーバーステアを示したのである。

いや、私は単純にオーバーステアを引き出せたからカイエンは素晴らしいと言っているのではない。限界に到達するまでは徹底的に安定した姿勢を示しながら、最後の最後でドライバーにオーバーステアという選択肢を与えているそのハンドリング特性を賞賛しているのである。

また、全力加速に続いてフルブレーキングを試せるダイナミックエリアでは、0-100 km/h加速4.5秒(スポーツクロノパッケージ装着車)という圧倒的なダッシュ力を堪能するいっぽうで、フルブレーキング時にはABSがタイヤをロックさせるかどうかの状態を保つ絶妙のコントロール性を体験できた。

これはタイヤの能力を最大限に引き出す制御であるとともに、最後の最後までドライバーにコントロールの余地を残しているという意味で、理想的なブレーキといえる。

カイエン GTSのスタビリティの高さは、新設となったキックプレートでも体験できた。

ポルシェ・カイエン全モデル 公式サイトをみる

記事に関わった人々

  • 執筆

    大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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