ルノー・メガーヌR.S.ウルティム 技術と心がつまった不世出の1台 最後のチャンス

公開 : 2023.09.29 20:45

しっとりした硬さ、動き、熟成の跡

センターコンソールのプレートに0000というシリアルナンバーが刻まれたプレスカーのウルティム。ボディは見慣れたジョンシリウスメタリックだが、それ以外の部分がことごとく黒いトーンで引き締められており、シックな佇まいに見える。

黒仕上げのパーツには、ベースモデルに対し1本あたり2kgも軽量な19インチホイール「Fuji Light」も含まれている。

ウルティムのギアボックスは6段EDCと6段MTから選べるが、今回はEDCの方だった。

スタートボタンを押し、300psの最高出力を誇る1.8Lターボを呼び覚ましてワインディングへと入っていく。

シフトパドルで操るEDCのスムーズな変速や、角の取れた乗り心地のおかげで、ゆったりと走っている限り特別なモデルをドライブしている感じは希薄だ。「FF最速!」を彷彿とさせるのは、路面の轍に前輪をグイッと取られた時くらいだ。

だがスロットルを深く踏み込めば、そこからはタイムアタッカーの性格が顔を覗かせる。キックダウンによってエンジンが力強く唸り、怒涛の加速がはじまる。

FFであるにもかかわらずトラクションが4輪に掛かって覚醒する感覚は、現行のメガーヌR.S.がデビューした時から変わらない感動ポイントといえる。

一方、デビュー当初はその作動感が少し大げさだと感じていた4コントロール、後輪操舵は徐々に動きが滑らかになっており、今回は全く違和感がなかった。

全ての熟成が含まれている、これは最終型のメリットといえる。

ルノー・メガーヌR.S.ウルティム 公式サイトをみる

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

ルノー・メガーヌR.S.ウルティムの走りを解説

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