マクラーレン・アルトゥーラが切り拓く、次世代の「楽しさ」とは

公開 : 2023.10.20 12:30

洗練と攻撃のハイブリッド 飯田裕子の視点

美しさと攻撃性を秘めた「アルトゥーラ」。

まるで真空パック包装のように無駄な空間を作らず、且つ空力にも優れた流麗で有機的なボディワークが施されたデザインは最新の開発/製造技術と素材を採用。新世代マクラーレンの第一弾として機能美/性能美に磨きがかかっている。

開発キーワードの一つに“機能的ジュエリー”があり、「飾り立てるのではなく必要なことをして、それを美しくする」と説明している。これは最新のインフォテインメントシステムやデジタル・インストゥルメント・クラスターなどを採用する質感の高さも増したインテリアにも言えることだと思う。

このような美しいスーパーカーのアルトゥーラが極めて静粛にEV走行するというだけでも超新鮮ではないか。

スポーツカー界で一番と評したいフロントウインドウの視界の良さをこの極めて着座位置の低いスポーツカーで得られる感覚も、マクラーレン初体験の方なら驚かれるだろう。

積極的にモーターを活用し走行するアルトゥーラは、住宅街の走行やデパートの駐車も気を遣うこともない。加えて一般的なPHEV=重たいという想像に反してマクラーレン然とした乗り心地の良さとドライバーエンゲイジメントに優れたハンドリング性能が味わえる。

そこで改めて気づかされるのが、新型V6ツインターボエンジンの存在への愛おしさだ。

4Lから3Lへのダウンサイズではサウンドへのこだわりも緩めず「クレッシェンドのようなエンジン音の発音」にこだわり、排気系などを設計。アルトゥーラならエンジンが生み出す高揚感もまだまだ諦めたくない“アナログ派にも響くPHEV”の動的性能体験を味わえるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    西川淳

    Jun Nishikawa

    1965年生まれ。京都府在住の自動車ライター。スーパーカーなどの高額車、スポーツカー、クラシックカーといった“趣味のクルマ”が得意。精密機械工学部出身で、産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰して自動車を眺めることを理想としており、中古車事情にも通じる。「永遠のスーパーカー少年」として知られている。
  • 執筆

    飯田裕子

    Yuko Iida

    免許を取るまではクルマにまったく興味がなかった女子だったが、山に囲まれた実家の近くは折しも峠ブーム。ドライビングやスポーツカーへの興味を抱くようになる。自動車メーカーでOLをしながら弟(飯田章)とレース活動をスタート。退職後「クルマ×人(中心)×生活」をテーマとするジャーナリストに。現在の愛車はポルシェボクスター(981)
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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