アルピナの「味」を言語化 SUVにも? XD3で感じた「新しい古典」

公開 : 2023.10.27 15:40

ディーゼルらしからぬアルピナの仕立て

アルピナの美点はいくつもあるが、アンダーステートメントはその最たるものといえる。

見た目上で普通のBMWに紛れることもできるし、緩やかなペースで走る場合には、ステアリングに掛かるセルフセンタリングトルクが強めのBMWを装うことも可能なのだ。

しかしドライバーはステアリングの中心に据えられたアルピナのエンブレムと相対して我に返り、スロットルを強めに踏み込んだ瞬間にはじまる怒涛の加速に心打たれる。

XD3の性能的な基点になっているのは3Lストレート6のディーゼル・ビ・ターボだ。

低圧と高圧、2基のターボチャージャーを直列に配し、ターボによるトルク変動を均す手法はアルピナのお家芸ともいえるもの。その結果として355psという最高出力は、ディーゼルとしては高めの4000-4200rpmで発揮され、リミットとなる5000rpmまで淀みなく吹け切ろうとする。

前期型のXD3でもその加速は野太く、まるで自然吸気の大排気量ガソリン・ユニットかBEVのようだった。後期型はそこに48Vのマイルドハイブリッドシステムが追加され、走り出しがより滑らかになっている。

スロットルペダルの奥にあり余るようなトルクを感じながら走るXD3は「まるで大船に乗ったような」雰囲気で、実際よりも大きなボディサイズを連想させてくれる。

高速道路の流れに合わせるのも、流れから脱出するのも思いのまま。XD3によるハイウェイ・ドライブは想像以上に快適だったのである。

アルピナXD3 公式サイトをみる

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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