アウディTT S vs BMW M235i vs ポルシェ・ケイマン

公開 : 2015.04.06 23:50  更新 : 2017.05.29 19:32

新型のアウディTTが、いよいよわれわれの手元にデリバリーされようとしている今、その他のジャーマン・クーペと再び比べてみることにする。

£40,000(710万円)を下回るドイツ製スポーツ・クーペのなかで、いかにしてアウディTT Sがパフォーマンスを発揮できるのか?というのが、本項のメイン・テーマである。

実は、去年の11月にアウディTTを交えた比較テストを行っている。その時のテスト車両は230psを発揮する2.0ℓターボを載せたTTで、対する相手はミュンヘンのビッグ・セラーたるBMW M235iだった。

その後も、今年の2月にTTロードスターTT Sロードスターを1度ずつテストし、3月にはディーゼル版ロードスターもテストしており、いずれもわれわれの期待値を超える実力を披露してくれた。

特に、TTの持ち合わせた潜在的な敏捷性や、活発さ、ダイナミックさは先代を大きく上回っている、というのが現時点でわれわれが持ちあわせる共通の印象である。

M235iという強者と並べても、まずまずの結果を導いたのだから、長きにわたりドイツ製スポーツ・クーペ界を率いてきたポルシェケイマンと引きあわせてみてはどうだろう?と考えたのだ。

AUTOCARの読者ならば、ケイマンの能力の高さと、それに対するわれわれの評価もご存知のはずだから、中には ”さすがにケイマンとTTじゃあ比べ物にならないのでは……” とお思いの向きもあるかもしれない。

ただしケイマンの£39,964(710万円)とTT Sの£38,790(689万円)という値札をご覧のとおり、2台の価格帯は近接している。ともすれば、”TTにも頑張ってもらわねば” と考えるのも自然ではないだろうか。

またTT Sが立場を確立するには、広い層からの支持やユーザビリティ、長距離走行時の優位性も優れていなければならない。ならば、以上の項目をクリアしたベンチマーク的存在であるM235iとも再び突き合わせてみようと考えたのだ。

TT Sの気筒数は他の2台に比べると2つ少ないが、パワー・トゥ・ウエイト・レシオは3台の中でトップ。加えてクワトロ・システムの搭載によりクイックな身のこなしを約束してくれる。

さらに0-100km/hタイムは4.9秒と、ケイマンの掲げる5.7秒よりも0.8秒速い。アルミニウムをはじめとする軽量素材の使用域を広げたため、乾燥重量もケイマンより35kg軽く仕上がっている。

TT Sのギュッと引き締まった ’肉体’ と、低く構えた姿勢を見た後だと、M235iがどうしても古風な3ボックス・タイプに見えるのも事実。このクラスのクルマを購入するならば、やはりスタイリングも大事だと思う。

伝統主義者とモダニストの間で意見が別れるかもしれないが、スポーツカーの典型的ルックスを纏うケイマンは当然ながら、TTの隅々まで配慮が行き届いたデザインも一度は生で見たほうがいいだろう。

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