ホンダ・シャトル・ハイブリッドZ

公開 : 2015.05.27 23:50  更新 : 2022.12.12 21:30

  • メインで試乗した最豪華版のハイブリッドZ、238万円がまとっていたミスティックガーネット・パール に加え、イメージ・カラー色となるミッドナイトブルービーム・メタリックの2色の新色は高級感を狙っている。

  • 一番の売れ筋のハイブリッドXはFFモデルが219万円。234万4400円の4WD仕様の設定もあるが、試乗会では車両がなかった。

  • 「ライフスタイルを広げ、人生を楽しむクルマ」として再定義された。フィットよりも高くてリッパであることが名実ともに求められた。フォグライトは最上級モデル、ハイブリッドZの証。

5月15日に発売となったホンダの新型コンパクト・ステーションワゴン、シャトルの試乗会が横浜で開かれた。フィット・シャトルの事実上の後継モデル。はたして一本立ちするほどの個性はありや?

■どんなクルマ?

2011年6月に発売され、今年3月に生産を終了したフィット・シャトルは、子育てを終えた団塊の世代に人気を博した。彼らの多くは、クルマ自体は大いに気に入っていたものの、「あ、フィットですね」といわれることにいささか傷ついていたそうな。フィット・シャトルはフィットより30万円も高いのに……。

というようなこともあって、今回、フィットのブランドをスッパリ捨て、単にホンダ・シャトルと命名された。「さぁ、心のリゾートへ」をキャッチフレーズに、”日常の中の非日常” “ひとクラス上のCLASSY RESORTER” というキーワードが掲げられた。

パワートレインとプラットフォーム、前後ドアは、2013年に登場した現行3 代目フィットから流用するものの、今度のシャトルは顔が違う、屋根が違う、後ろも違う。ごめんね、フィットのひとにまだしばられてる〜。と山口百恵のヒット曲の替え歌を持ち出す必要はまったくありませんが、ともかく新しいLEDライトを採用したフロント・マスクといい、のびやかなサイド・プロフィールといい、ひと目でフィットよりひとクラス上に見えるエキステリアができあがった。自動車ビジネスとは差別化なり。

そうはいっても中身はフィットである。パワートレインはフィットでおなじみの1.5ℓアトキンソンサイクル&電気モーター + 7速DCTのハイブリッドと、1.5ℓ直噴ガソリン+CVTの2種。重きが置かれているのはハイブリッドで、装備の違いによって3種類のグレードが用意されている。ガソリンは1種類のみだ。5月25日現在、月販目標3000台に対して6100台の受注が入っていて、そのうちの88%がハイブリッドだという。シャトルを見たらハイブリッドだと思うのが正しい。

全長はリア・オーバーハングの延長によってフィット比445mm延びている。結果的に車重は100kgほど増えているけれど、重量増を最小に抑えるべく、ハイテン材(高張力鋼)をピラー部に使ったり、空力の洗練を図ったりしている。そうした工夫の結果、シャトル・ハイブリッドのJC08モードはクラス・トップの34km/ℓを達成した。”ハイブリッド” の1グレードだけとはいえ、これまでのキング、33.8km/ℓのトヨタカローラ・フィールダー・ハイブリッドを打倒することに成功したのだ。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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