‘おいしいグレード’ 決定戦 ーー マクラーレン570GT & ゴルフGTIクラブスポーツS & メルセデスE350dエステート
公開 : 2017.01.08 05:50 更新 : 2017.05.29 19:10
世の中には、優れたクルマが存在する。優れたクルマのなかには、‘おいしいグレード’ がある。そんなクルマの発掘。これが、今回の旅のゴールである。
2016年式として新たに登場したモデルから、話題性のあるものをいくつか挙げてみよう。
・右ハンドルを設定したフォード・マスタング
・ベース車のエンジンもターボ化されたポルシェ911
・電撃的な加速をもたらすハイブリッド・システムを搭載したホンダNSX
・実にすばらしい出来栄えのアストン マーティンDB11
1年を振り返り、個人的に気に入ったクルマの名前を並べるのは簡単だが、これら麗しき新型車たちが生まれた2016年を祝福するもっといい方法はないだろうか。
社内と車中で頭を悩ます日々。そんな因果な、世界最古の自動車メディアの編集者を哀れんだか、神が啓示を下さった。
「三賢人を連れ、ナザレスとベツレヘムを訪れよ」と。
われわれは聖書、ではなく英国の地図を開くと、ウェールズにその名を持つ村を見つけた。
あとは、各テスターのイチオシ、計3台を借り出すべく各メーカーに電話をして、2日間のテスト日程を組むだけだ。
‘おいしいグレード’ その1、VWゴルフGTIクラブスポーツS
この1年、ロードテストの俎上に載せたクルマは他にも多くあった。フェラーリ488GTBやポルシェ911R、テスラやケーターハムの史上最強モデル、ベントレーがついに送り出したSUVなど強烈な個性を持つものも少なくない。
しかし、敢えてそれらから目を背け、霧深いスノードン山に並べたのは、それぞれ仕様にこだわった3台だ。
・リア・シートを取り払ったVWゴルフGTI
・よりマイルドなバージョンのマクラーレン570GT
・売れ筋からもっとも遠いであろうメルセデスEクラス・エステート である。
最善の選択か、と問われれば正直に言って自信はないが、その埋め合わせになるだけのことは精一杯するつもりだ。
それにしても、この冬最初の嵐はひどいものだった。道端に立つカメラマンを豪雨が叩いていた。だからこそ(とでも言おうか……)3台のセレクトは幸いだった。
特に、3台中唯一のFF車をドライブしている時は、荒天も気にならない。ましてやVWだ。こんな状況下で、ランドローバーに代わりうる信頼性でドライバーを包んでくれるクルマを造るメーカーはそうそうない。