ハッチバック決定戦:前編 ―― ホンダ・シビック vs プジョー308 vs VWゴルフ
公開 : 2017.04.29 12:00 更新 : 2017.05.29 19:09
新型ホンダ・シビックは、歴代モデルが尊重してきた独自性を放棄しましが、それでセグメントの中心的モデルたちに勝てるのでしょうか? 相手はプジョー308、そして言わずもがなのVWゴルフです。
もし、今も本田宗一郎がいたら……
故・本田宗一郎は、現代の偉人とも言うべき人物だ。英国編集部所属のわたしは、残念ながら語録のようなものを読んだことはないが、金言は少なからずあるだろう。
「独自性を追求することが、ホンダという存在を正当化する」というような言葉が、クルマのハンドブックに書いてあった。その精神は、新型シビックにも生きているはずだ。
このハンドブック、先代シビックにも付いていただろうか。多分あったような気がするが、敢えてそれを見なくても、そのメッセージは、あの風変わりなスタイリングから十二分に伝わってくるし、型通りでない装備や機能にも浸透しているように思えた。
ところが、今回はちょっと様子が違う。新型シビックで、ホンダは直球勝負に出たのだ。
グローバル・モデルとしての「シビック」
グローバル・モデルとなったこのハッチバックは、英スウィンドン工場の基幹車種だが、少なくとも過去2世代と比べると、極めてノーマルなクルマだ。
世界的に、ホンダとしては最大規模のリサーチと開発を行い、欧米各技術部門が共同で設計に携わった。燃料タンクは一般的な後席下に移設され、後席座面のフォールディング機構は廃止された。
スタイリングは、ダミー・ダクトや大きなテールライトのインパクトはあるものの、それほど冒険はしなかった印象だ。
最も興味深いのは、ボディ・サイズが大幅に拡大されたこと。
全長は4.5mを超え、フォルクスワーゲン・ゴルフやプジョー308より30cm近く長い。ただし、これはプラスに働いていると思う。そのことは、昨年のプロトタイプ試乗や、今年初めの欧州プレス発表時にも述べてきた通りだ。
果たしてホンダに、典型的な欧州の5ドア・ハッチバック・ファミリーカーに倣おうと思わせたものは何だったのか。
普通を目指したことは、欧州のハッチバック市場において、脇役から主役に躍り出るきっかけとなるのか。熟成と拡大は、シビックを真に成熟させたのか。そして、ホンダの精神はそこにあるのだろうか。