空冷と水冷、あなたはどっち? ポルシェ993と996を比較試乗(後編)
公開 : 2017.08.15 16:40
空冷? 水冷? どっち? いよいよ後編です。993と996は、まったく異なったクルマであることを前提としたうえで、それぞれの「旨味」を見極めます。
もくじ
前編
ー元F1ドライバーが996を選ぶ理由
ー996、なぜ長い間不人気だった?
ー993が「最後に911」になる可能性もあった
ー996、顧客をどんな仕掛けで惹きつけた?
ー993と996、両者の明らかな違い
後編
ー993と996 音やステアフィールの違いは?
ー993オーナーが語る、993の実用性
ー993と996 オーナーの語る「ポルシェ像」
ー996、これから価値は高まるのか?
993と996 音やステアフィールの違いは?
ポルシェの技術者は、空冷を水冷に変えることで水平対向6気筒エンジンの魅力ができるだけ損なわれることがないよう努力した。
この試みはほぼ成功しているとわたしは思う。水冷エンジンは非常に滑らかに回り、やや抑えられてはいるが、まちがいなく911ならではのエグゾーストサウンドを響かせながらすぐに6000rpm以上まで吹け上がる。
一方の993のエグゾーストサウンドはもっと低音が大きく、リアでいかにもメカが仕事をしているような機械的な鋭さを感じる。
ストレートでは体感的にも、またデータ上でも996は993より速い。993も996も身体がシートに押しつけられるような加速を感じさせてくれるが、996の方がスロットルの動作により俊敏に反応する。
ただ、加速性能は911の総合的魅力の一部に過ぎないことを忘れないでほしい。
993と比べると996のステアリングはほんのわずかにフィーリングが欠ける部分があるが、これは取るに足らないほどわずかな差で、洗練された乗り心地や節度あるトランスミッションが十分に補ってくれる。
どちらのモデルも、多くのライバル車が決して真似できないような絶妙な方法をもって路面の状態を一貫してドライバーに伝えてくれるのだ。
もうひとつ、両者に共通している部分がある。