シボレー・コルベット・スティングレー vs ジャガーE-タイプ vs トヨタ2000GT(最終回)
公開 : 2017.09.28 19:50 更新 : 2017.09.29 01:18
たいへんな人気だったこちらのシリーズも最終回。このページの主役は「トヨタ2000GT」です。写真をご覧になるだけでも、よい肴になるのではないでしょうか。今週もあと一息。夜をゆっくりとお過ごしください。
もくじ
ー 2000GT いたるところにエランの影
ー 走らせて、はじめて気がつくこと
ー 3台 すべて価格が一緒なら、何えらぶ?
ー トヨタ2000GTのスペック
2000GT いたるところにエランの影
2000GTに乗ると、ロータス・エランからも学び取ろうとしていたことがわかる。例えばシャシー(ロータスのバックボーンにそっくりだ)、そして形(ジャガーの6分の5スケールと言ったとしても言い過ぎではないと思う)などから明確に伝わってくる。
ヤマハが日産と協力する形で生み出そうとしていたA550Xも同様だ。それほど当時のデザイン部門チーフの野崎喩は、ジャガーに大きな影響を受けていたのだろう。
さまざまな制約の中で作られた2000GT。中でも高さを確保するためにリトラクタブル・ヘッドライトを採用した点など、考えに考え抜かれたパーツたちも魅力のひとつだ。
BMW 507からインスピレーションを受けたマグネシウム製アロイ・ホイールやテール周辺のマセラティを思い起こさせるライン、C1コルベットのような小さなリアウイングランプや、ザガートが見出したダブルバブルルーフなどさまざまな要素からも野崎氏の見識の広さが伺える。
風の抵抗まで考え抜かれた可憐なドアノブを引き、乗り込む。ショーン・コネリーが「007は二度死ぬ」でルーフ無しのモデルに乗った理由がすぐわかるほど、キャビン内部のルーフは低い。足元は思った以上に広さがあり、タイプライターのキーのような美しいスイッチを見れば、「嗚呼こんな所にも拘りが」と思わず声に出してしまった。
それほどに細部にまで努力の跡が見て取れる。熱成形のステッチなどチープな部分は見逃せないが、ロータス・エランのようなスラリとしたバケットは快適だし、美しくラウンドするフロントガラスは見ているだけで満足させてくれる。
こちらのクルマもJDクラシックスがレストアを施したのだが、ヤマハがピアノにも使用したというローズウッドの内装パネルや、当時の正方形のクロックやストップウォッチ、シガレット・ライターなど「男らしさ」を象徴するパーツはオリジナルのまま残したのだと言う。
イグニッションキーを回せば、2000GTはいかにも日本車らしい目覚め方をする。