お金をかけないリッチライフ(2) マセラティ3200GT 試乗記
公開 : 2017.10.01 00:00
新車時ほど高くなくなったGT特集の2話目の主役はマセラティ3200GT。「スズメバチ」と例えられるこのクルマ、今乗るとどんなかんじなのでしょう。
もくじ
ー マセラティを救った3200GT
ー 火を入れた瞬間から強烈
ー マセラティ3200GTのスペック
マセラティを救った3200GT
「野性味むき出し」
スポーツモードの時の3200の性格を伝える言葉はこれしかない。
それをオフにすると、その野性味が少しだけ鈍る。これが批判ではないのは、わたしの好みにぴたりと合っているからである。DB7の後にこのクルマに乗ると、このGTは無条件に脳を痺れさせる。3200は、攻撃的なスズメバチのようなクルマなのだから。
低迷していたこのブランドを立ち直らせるのにまさに打ってつけの1台だった。1993年にフィアットがデ・トマソの支配権を買収したことで、マセラティはトリノを拠点とする巨大メーカーの傘下に加わった。
突然、マセラティ復活のためにこれまで考えられなかったような資金が投じられたのである。皮肉なことに、このマセラティ再生の先頭に立ったのは、かつてのライバル、フェラーリであった。
ジウジアーロ率いるイタルデザインの手によるボディは、ひとを魅惑する存在感がある。フロントヘッドライトは、DB7にかなり似て見えるが、流れるようなキャラクターラインや丸みのあるショルダー、裁ち切られたテールが攻撃的な印象を与えている。
巧みな視覚効果によって今回採り上げたほかのGTに比べてずっとコンパクトに見えるが、その差はわずか4インチ。にもかかわらずフェラーリ456と同じようにリアに背の高い大人がふたり座れるほど実用的だ。
ふんだんに使われたソフトレザー、サポートに極めて優れる電動シートなど、仕上げのクオリティもフェラーリに匹敵する。