長期テスト ベントレー・ベンテイガ(1) 装備内容/第一印象は
公開 : 2018.02.07 22:00 更新 : 2018.02.07 22:03
ベンテイガ 走りの第一印象
いざ走り出してみると、立派なものに乗っていることはすぐにわかる。道行くひとは振り返り、子どもたちは携帯を向けてシャッターを切る。ベンテイガとは、例えば駅の切符売り場で長蛇の列に並んでいると前のひとたちが話の種にする、そういうクルマなのだ。
距離を重ねるのがどれほど楽かが一度わかるとどんどん走りたくなるし、燃費が良くて8km/ℓ弱ということもそうするうちにわかるだろう。
ベンテイガとわたしはもう長い距離を後にした。クリスマス休暇の間ですら、無意識のうちに3200kmほども上乗せした。今のところ言えるのは広い道向けのクルマということだ。
レンジローバーのLWB版と変わらない全長については問題ないが、イギリスで考えられるクルマとしては最も幅広い。ステアリングが極めて正確でステアリングホイールもそこそこ小径なので、狭いところにも駐車しやすいのはまだしもの救いだ。とはいえ、運転中は道から目を離せない。
6.0ℓW12ツインターボエンジンの91.8kg-mものトルクをていねいに扱えば、ベンテイガはただどこまでも滑るように走る。機械音や風切り音は80km/h程度でも変わらないし、ロードノイズは他の高級SUV同様にあらゆる速度域で小さい。ベントレーならではのサスペンション設定も、柔らかさと操縦性の理想的なバランスをもたらす。
しかし、ひとたび床も抜けよとばかりに踏み込んでしまうととんでもないことになる。ホイールスピンもなければエンジン音の高まりもなく、いきなり前へ投げ出されるような衝撃が来るのだ。もはやカタパルト発進だ。
言っておきたいのだが、そういう風に運転したいならわたしは何も言わない。でもそんなことはフェラーリに取っておいた方がいい。ベンテイガはそもそも俗に言う「スポーツカー」のカテゴリーではないし、着座位置もかなり高いから揺すられ方も大きくなってしまう。
ただ滑るように走らせることに専念し、秘めた高性能は他の者どもをあざやかにやり過ごしたりどんな急坂も涼しい顔で登るために置いておけばいい。さすればベンテイガと、そしてあなたの本分は発揮されるだろう。