スーパーカー3台対決 911 GT2 vs 430スクーデリア vs ガヤルドLP560-4 回顧録 前編
公開 : 2018.04.28 08:10
1泊2日の長距離テストにおいて2008年最高のスーパーカーを決定します。比較するのは最も高価で走りを意識した430スクーデリアと、ターボによる圧倒的なトルクが自慢の911 GT2、そして豪華でスーパーカーらしさにあふれたガヤルドLP560-2の3台です。
もくじ
前編
ー ひとびとの注目の的
ー 北フランスへ
ー 最も高価な430スクーデリア
ー キャラクターの異なる3台
ー すべてが絶妙なスクーデリア
後編
ー 安心感のある挙動
ー 驚異的なバランス
ー 乗用車のように快適なガヤルド
ー GT2の圧倒的低速トルク
ー 官能性は低いが、とにかく「速い」
ー 430スクーデリアの圧勝
ー F430と似て非なるスクーデリア
ひとびとの注目の的
第1日目 AM10:30/ドーバー
「すげーっ!」──ガソリンスタンドでわたしと立ち話をしていた青年が歓喜の声を上げた。先頭のフェラーリだけでもめったにお目にかかれるクルマではないのに、そのあとに続いてポルシェとランボルギーニまでもが現れたからだ。
彼はついさっきまで、今回の企画の伴走車としてわたしが乗ってきた本誌(英国版)長期テスト車のレクサスIS Fに興味津々で、「排気量は何cc?」、「最高速は何km/h?」、「燃費は?」などとわたしを質問攻めにしていた。ところが3台のスーパーカーを目にするやいなや、もうレクサスにはなんの関心もなくなってしまったらしい。
そう、それがスーパーカーの最大の魅力だ。派手な色に塗られ、キャビンより後ろにエンジンを搭載し、大声を張り上げなければ助手席との会話もままならないほどうるさいエグゾーストサウンドを発し、地上を300km/hで走るロケットの持つ本質的な魅力がそこにある。
スーパーカーはひとびとを振り向かせ、視線を集めまくり、たいていの場合は驚きと笑顔をもって迎えられるものだ。
その朝、ガソリンスタンドにいた青年にとっても3台の最新スーパーカーとの出会いはあまりに衝撃的すぎて、まるで自分の目が信じられないといった様子だった。