比較試乗 アストン マーティンV12ヴァンテージ vs ポルシェ911 GT2 前編

公開 : 2018.05.06 08:10

アストンのV12ヴァンテージとポルシェ911GT2(997)の比較試乗です。スコットランドにある湖畔のワインディングを舞台に、英国製の怪物と、ドイツ製ハードコアの頂点が対決します。排気量の差とは裏腹に動力性能ではGT2が圧倒しています。

もくじ

前編
V12ヴァンテージとDBSの「違い」
走り重視のV12ヴァンテージ
「すごい」の一言
理想的なライバルのGT2
動力性能ではGT2が圧倒
それ以外では接戦

後編
アストンの「特別感」
走り出すと印象が一変
凶暴な速さ
「曲がる」「止まる」も素晴らしい
総合力でアストンの勝利

V12ヴァンテージとDBSの「違い」

新たにアストン マーティンのラインナップに加わったこのV12ヴァンテージは、見方によっては同社が抱えるある種の問題をそのまま反映しているように感じられる。このクルマが近年のアストンの歴史において最高にワイルドでエキサイティングなロードカーなのは否定しようのない事実であり、それ自体はとても喜ばしい話だ。

しかし、その一方で、まるで身内のDBSに「オレのほうがなんでもオマエよりうまくやれるぞ、それも600万円も安くな」とケンカを売っているようにも思えてしまうのだ。

もちろん当のアストンは、そのように考えてはいない。よりコンパクトで走りに特化したV12ヴァンテージと、よりラグジュアリーなグランツーリスモを志向しているDBSでは、求める顧客層にかなり大きな相違がある──彼らはそう言うのである。

この2台が同じエンジンとトランスミッションを搭載しており、しかも重量差がわずか15kgに収まっているのは、要するに単なる偶然の一致に過ぎないということらしい。だが、新型ヴァンテージを実際にその目で見ても、あるいは近くの道でそれなりに気合を入れてひと走りできたとしても、このクルマの位置づけについての混乱はまったく解決しないだろう。

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