アルピーヌA110新型、国内最速試乗 4C/エリーゼよりもケイマン寄り
公開 : 2018.08.04 06:10 更新 : 2021.05.13 12:00
ひとつだけ期待外れなこと
ただしひとつだけ、期待外れなことがあった。
それは、AUTOCARのイギリススタッフによる南仏の国際試乗会などにおけるリポートが、スポーツカーとしては明らかにサスペンションがソフトで脚がしなやかに動くと、乗り心地の快適さを絶賛している点だ。
ところが僕らが乗った白いA110のサスペンションは、とりわけソフトにもしなやかにも感じられなかった。高速道路のスピードレンジになると乗り心地はフラットで快適だったが、都内で遭遇する低速域ではむしろ硬めの印象で、18インチのミシュランPS4の硬さも、まるで空気圧が正規より高いかのような感じで伝わってきた。
その理由としては、試乗車が走行1000kmに満たない新車だったことが災いして、ダンパーやブッシュ類の初期の硬さが取れていなかったのではないか、ということが考えられる。できれば後日、もっと走り込んだ状態の同車に乗ってみたいものだと思った。
とはいえ、東名と小田厚をGT並みの快適さでクルージングして箱根のワインディングロードに至ると、A110はその本領を遺憾なく発揮し始めた。
まずはエンジン。動力性能は必ずしもA110の見せ場ではないが、ノーマル、スポーツ、トラックの3パターンある走行モードをスポーツにセットして踏み込むと、弾けるような爆音を奏でながら軽く吹け上がり、ターンパイクのきつい上りも胸の透く勢いで駆け上がる。
パフォーマンスに関しては、普段どんなクルマに乗っているかで印象が異なるはずだが、当方としては充分満足できる加速が味わえた。ただし、スポーツモードだとDCTをパドルでシフトダウンしても自動的にシフトアップしてしまい、ワインディングでは走り難い。
そこで、スポーツボタンを長押ししてトラックモードにセット。すると、スロットルレスポンスが一段と鋭くなると同時に、自動シフトアップは起こらずエンジンは6700rpmから のレッドゾーンまで一気に吹け上がるので、がぜん走り易くなる。