初代ホンダ・インサイトはなぜ英国で失敗したのか あらためて試乗

公開 : 2018.09.02 10:10

世界を変える革新は色々な形でやってきます。1999年に発売された、ホンダのとんがった先駆車は驚きに満ちていました。1.0ℓ3気筒エンジンとモーターを搭載し、非力ながらも超軽量ボディのおかげでスポーティさと燃費を両立してます。

text:Greg Macleman(グレッグ・マクリーマン)

もくじ

コンセプトをほぼそのまま市販化
空力とシャシー軽量化に注力
モーターにより低速トルクを補う
トヨタとは異なるシステム
燃費ゲームのような画面 踏めば加速も
乗り心地とハンドリングは欠点
似たようなコンセプトは他にも
失敗の原因は2シーターか
ホンダ・インサイトのスペック

コンセプトをほぼそのまま市販化

酒場でやるおなじみのトップ・トランプなら、どれが一番速いか、軽いか、価値があるかを決めるのは簡単だ。しかし、本当に影響力のあるモデルはどれかを正確に言い当てるのは簡単ではない。クルマのデザインの方向性を決定的に変える影響力を持つようになる画期的なモデルだ。クルマとの付き合い方までも変えてしまうような。

そういう視点で考えると、たくさんのクルマが頭に浮かぶ。例えばシトロエン・トラクシオン・アヴァント。最初の量産FF車だ。あるいは安全性の先駆者、サーブGT750。シートベルトを標準で装備した最初のクルマだ。米国の愛好家はシボレー・コルヴェア・モンザやオールズモビル・ジェットファイヤーにさかのぼるかもしれない。

最初にターボチャージャーを装着した2台だ。はたまた、レースファンはロータス25の革新的なアルミ製モノコックや、その31年後に現れたカーボンモノコックのマクラーレンF1を思い浮かべるだろう。しかし、これらのクルマのインパクトも、日本からひっそりと輸入され、忘れられる前に少数が販売された奇妙な小さなクルマの前では色褪せるかもしれない。

ホンダインサイトは1997年の東京モーターショーで初公開された。J-VXというハイブリッドのコンセプトカーとして初披露されたのだ。低燃費とスポーティスタイルの面白い組み合わせで、環境への優しさ、軽量構造、最新鋭のパワートレインをコンセプトとした。

既存の3気筒1ℓエンジンを電動でアシストし(インテグレーテッドモーターアシストと称する)、驚異的な28.3km/ℓ以上の燃費を達成した。そして、多くのコンセプトカーが市販されず、あるいは技術の一部が量産車に反映されるのがせいぜいなのに対して、ホンダはJ-VXの市販化を決断した。燃費の意味でも日常の足としても実用的なクルマとして。

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