ロードテスト アウディA7スポーツバック ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2018.09.17 16:10  更新 : 2018.09.18 11:22

ルックスに磨きをかけ、キャビンは広さを増して先進アイテムを装備。パワーとトルクはアップし、燃費も改善した2代目A7ですが、果たして完璧なオールラウンダーなのか、それとも多くを求めて手を広げすぎた八方美人に成り下がっているのでしょうか。

もくじ

はじめに
意匠と技術
内装
走り
使い勝手
乗り味
購入と維持
スペック
結論

はじめに

重役たちが顔を突き合わせる会議室の中に限れば、これこそ絶妙な解決策に思えるはずだ。既存のミディアムセダンから拡張性のあるプラットフォームを流用し、華やかなクーペのボディをまとわせるのである。家族で1週間ほどの休日を過ごせるスペースを備えながら、ショールームのセンターを飾れるクルマになるだろう。理論上は、快適性も素晴らしく、低重心ゆえの優れたハンドリングも実現すると見込まれる。

使い勝手に優れたプレステージモデルであるのは明らかだが、セダン用プラットフォームがグランツーリスモ専用のそれとして機能するかと聞かれれば、答えは簡単ではない。少なくとも、乗り心地やハンドリング、洗練度やデザインといった何らかの要素によって、これまでメルセデス・ベンツCLSBMW6グランクーペ、そして先代アウディA7といった常連たちが、真のポテンシャルを発揮できなかった。このセグメントの先頭を走るのはポルシェパナメーラだが、それでさえ批判にさらされる。高すぎる価格や、多数派にとっては固すぎると思えるスポーティさに振りすぎた乗り心地などが理由だ。

そうしたことを踏まえてみれば、今回テストする2代目A7スポーツバックは、この階級を戦い抜くための全てを備えている。初代のチャレンジは評価できるが、先駆者たるCLSを凌ぐことはできなかった。その登場から8年を経ての世代交代では、形勢を逆転し、近年このセグメントに見られる販売不振を克服するべく、あまり一般的な手法ではないほど、大幅な発展を図ってきた。

フラッグシップたるA8譲りのデジタルデバイスを用いたインテリアや、48Vシステムにより効率を高めたマイルドハイブリッド・システムは、その代表的なアイテムだ。さらにシャープなボディパネルや精巧な燈火類は美しさをもたらすことを目指し、ホイールベースの延長でシルエットからは思いもよらないほど広い室内空間を稼ぎ出す。見るべきものは多いが、その見栄えにばかり力を注いで、乗り心地やハンドリングにまで手が及んでいなかったら本末転倒というもの。はたして、その実力やいかに。

 

意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

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