BMW M850i 初試乗 英国価格10万ポンド フラッグシップ・クーペ復活
公開 : 2018.10.29 10:40 更新 : 2018.10.31 11:07
ハイエンド・クーペに対する高い野望をかかげ、かつてのフラッグシップ・モデルの復活で更なる市場拡大を目指すBMW。エンスージャストの興味をわき立てる、充分なパフォーマンスを備えていますが、磨き込みはやや不足気味。ポルトガルで試乗しました。
もくじ
ー BMWブランドの進路を託す
ー Sクラス・クーペより100kg以上軽量
ー ライバルに一歩及ばないインテリア
ー 戦闘力の高いV8エンジン
ー 磨きの足りないフラッグシップ
ー 番外編:視線をそらす時間を最小限に
ー BMW M850i xドライブのスペック
BMWブランドの進路を託す
何でも新しいものを完成させるには、試行錯誤や細かな軌道修正は不可欠だ。ミュンヘンの自動車メーカー、BMWの新しい8シリーズの仕上がりは、目的を叶えるクルマとして充分なものといえるのだろうか。そんな疑問を抱いた理由は、BMWという自動車メーカーの規模を拡大させるという目的があるのなら、もっと大胆な変化が必要そうだ、というのが率直な印象だったからだ。
8シリーズの存在は、BMWブランドを再定義するためのモデルでもある。実際BMWは、かつてのフラッグシップモデル、グランドツーリング・クーペの8シリーズを復活させることで、BMWをワンランク上のラグジュアリーブランドへ格上げしたいと考えている。同じ目的で、X5よりもひと回り大きく、クロームメッキで派手に飾られた、大型SUVのX7も先日登場した。ブランドの進路を変更していくには、大型の石油タンカーも必要なようだ。
一方でBMW製のクーペは、SUVが幅を利かせる21世紀において、新鮮な存在でもあるし話題性も充分にある。エレガントでモダン。最先端の技術をふんだんに搭載し、ラグジュアリーでありながら、注目せずにはいられない容姿。そして、真のスポーティな走り。どれもBMWらしい、ストロングポイントだと思う。
今回の試乗車は、8シリーズの中でもトップグレードとなるMパフォーマンスM850i xドライブ。筋肉質で流麗なスタイリングには、空力向上を狙った「M」流のスカートやカナードが加わっている。ただし、バンパーに大きく穿たれたエアインテークや、グロスブラック仕上げのカーボンファイバー製ボディトリムで飾られるが、そのアグレッシブさは、少しやり過ぎにも見える。
スポーティさを狙ったボディキットがなくても、8シリーズの低く長いフロントノーズを基調とする全長の長いプロポーションと、緊張感の漂う面構成や特徴的なデザインのディテールなど、クルマの存在感は大きい。スタイリングの好みは往々にしてあるとはいえ、純粋に美しいとはいい難いとは思うが、ほかと異なるオーラが漂うことも確かだ。