回顧録 スーパーカー対決 フェラーリ458 vs マクラーレンMP4-12C 前編
公開 : 2019.01.25 10:40
マクラーレンが送り出したMP4-12Cを迎え撃つのは、歴史も知名度も、そして実力も世界イチとの誉れ高いスーパーカー界の巨人、フェラーリの最新ミドシップモデル、458イタリアです。ガチンコ対決特集のトップに相応しいこのバトルを振り返ります。
もくじ
ー F1因縁の対決
ー スペック上の差は小さい
ー 抜群の乗り心地
ー 毎日使えるスーパーカー
ー マクラーレンが誇るカーボンタブ
ー その気にさせる458
F1因縁の対決
(AUTOCAR JAPAN誌99号の再録)
わたしたちはまず、ウォーキングにあるマクラーレン本社を訪れた。もちろん、テスト車両を借り受けるためだ。目の前に置かれたこのクルマのルックスについて、今さらくどくど説明するつもりはない。彼らはその分野において間違いなく成功した。そこに疑いの余地はない。
MP4-12Cのシャシーは、カーボンコンポジット素材のタブを中心に構築されている。これはレースマシーンもロードカーも問わず、過去30年に渡りマクラーレンが産み出したすべてのクルマに共通するエレメントだ。
ここにミドシップマウントされる3.8ℓV8ユニットは、2基のタービンとフラットプレーンクランクシャフトが組み込まれ、600ps/61.1kg-mという、驚異的なアウトプットを誇る。もちろん、このクラスにあっても随一の高性能だ。F1界で名を馳せるトップコンストラクターとはいえ、市販スーパーカーの世界では経験の少ない寡作のマクラーレンが、スペック上はカテゴリーのトップに立ったのである。
となると、この世界の王者たるフェラーリは、その名声の上に胡坐をかいていたがゆえに先行を許したのでは、と疑いたくもなるが、458イタリアに触れれば、そんな疑念は消し飛ぶだろう。