回顧録 1シリーズMクーペ vs ケイマンR 全く異なるキャラクター
公開 : 2019.01.26 07:10
Cセグ唯一のFR車としてマニアを唸らせたBMW 1シリーズの最上位である1Mクーペは、「M」のバッジが示す通り、1シリーズ最強スペックを手に入れています。このクルマはライバルであるケイマンRとは異なり、どんな場所でも楽しめるクルマに仕上がっています。
もくじ
ー 生産台数の少ない1M
ー 比較対象はケイマンR
ー 動力性能は1Mが有利か
ー 十分な存在感
ー トルクが魅力の1M
ー ピュアスポーツらしいケイマン
ー どんな場所でも楽しめる
生産台数の少ない1M
(AUTOCAR JAPAN誌99号の再録)
逞しいルックスを持ち、運転しても素晴らしい1シリーズMクーペだが、思い出してほしいのは、過去10年のMモデルと違って生産台数がきわめて限られているということだ。BMW M社にとってアメリカに次ぐ大きなマーケットである英国でさえ、450台の割り当てしかない。そして、すでに少なくともその2/3が売約済みだという。
それが何を意味するのか? ひとついえるのは、おそらくBMWは後悔しているということだ。1台4万ポンドの1Mクーペをもっと生産し、経済危機から回復し始めた市場に向けて自信を披瀝すべきだったと…。しかし他方、このクルマを少量生産に決めた事実は、M社にさらなる前進のチャンスをもたらすものにもなる。
全体の生産台数に上限があるなかで、より幅広いマーケットにアピールできる(それゆえ妥協もせねばならない)モデルの生産を多少とも減らせば、そのぶんだけM社は自らの守備範囲をもっとダイナミック方向に極めていくクルマを作ることができる。
初代E30型M3が94年にE36型へとモデルチェンジして以来、Mモデルのユーザーの幅が広がってきたが、だからこそBMWはより焦点を絞ったモデルを切望してきたのだ。