回顧録 ポルシェ911ターボ vs ノーブルM600 価格差2倍の実力は?
公開 : 2019.01.29 11:45
一切の電子制御を持たない古典的なアプローチで造られたノーブルM600と、電子制御の塊とも言えるポルシェ911ターボを比較しました。M600の価格は911ターボのおよそ2倍ですが、たしかにそれに見合う実力があると認められました。
もくじ
ー M600市販型に初試乗
ー 高品質な作り込み
ー 高速巡航へ出発
ー 圧倒的パワーとトラクション
ー 踏み抜くなら路面状態に注意
ー 自然なフィーリング
ー 911の圧倒的洗練度
ー 価格相応の実力差
ー フェラーリなどとも並ぶ
M600市販型に初試乗
(AUTOCAR JAPAN誌99号の再録)
これまで何度かノーブルM600についての記事をお届けしてきたが、そこで達成された偉業はひとまず忘れていただきたい。なぜならそれらはすべてプロトタイプやテストタイプ、あるいは量産試作モデルでなされたものであり、ここにご紹介する最新のM600こそが、正真正銘の量産車だからである。
量産型そのもののカーボンファイバー製ボディを身にまとったM600がノーブル社外の人間の手によって動かされるのは、今回が初めてだ。だが、なぜこのタイミングなのだろうか。というのも、邦貨換算約3500万円という目が飛び出るような価格で発売されるのとほとんど同時期に、より廉価でさらに速いマクラーレンMP4-12Cが登場するからだ。
そして付け加えるなら、その最新のマクラーレンの登場と同時に、ミドエンジンのスーパーカーという世界の住民が目指すべきゴールポストが、一瞬にして別世界へと移動してしまったからである。
驚異的な速さと完璧さを備えた新型マクラーレンの登場は、M600からその存在意義を、誕生する前に奪い去ってしまったのではないか。加えてフェラーリ458イタリアまで存在しているのだから、M600は最初の顧客の手に届く前に、すでに実質的に余剰な製品なのかもしれないのだ。ましてやポルシェ911ターボの居場所は、いったいどこに残されているというのか?