至高の直6 新旧対決 BMW M2コンペティション vs M3 CSL 後編
公開 : 2019.02.02 17:10
圧倒的トルクによる動力性能を誇るM2も、超高回転型NAが見せる切れ味にはかないません。ハンドリングは面白さで勝るM2に対し、正確性が売りのCSLとどちらも甲乙つけがたい魅力を持ちます。強いてどちらかを選ぶとしたらエンジンが魅力のCSLとなりました。
もくじ
ー 劇的な超高回転型ユニット
ー バランスの良いハンドリング
ー 至福のコーナリング
ー 受け継がれる遺伝子
ー 2台のスペック
ー 番外編:BMW Mが振りまいた魔法の数々
劇的な超高回転型ユニット
CSL専用のカーボンファイバー製大型吸気チャンバーに飛びこむ大量の空気をあますことなく吸い込むべく、可能な限り吸気ポートを長く開くバルブの駆動系が盛大に打音をたてる。これに排気系のがなり立てる音が加わると、陳腐を承知でいえばまるでピットロードを脱兎のごとく飛びだすような気分だ。
そして4500rpmになると低音は退いていく。トルクにいちだんと弾みがつき、音は硬く滑らかにピッチをあげ純度を増しはじめる。木材チッパー(破砕機)に大理石を流しこんだら、こんな感じだろうか。
6500rpmからクランクシャフトがいよいよ勢いを強め、これまたCSL専用の特性を与えられたダブルVANOSも十全に本領を発揮し、サウンドはいよいよ一切のくびきが解きはなたれたかのような雄たけびにかわる。
すべてが1点にむかってあらん限りの力を振りしぼり、そしてその終着点すなわち7900rpmがやってくる。劇的なまでの勇壮さだ。
さしものM2コンペも、これにはかなわない。手頃なほうの「あの」4.0ℓフラット6でもかなわないだろう。たしかに新しいS55型エンジンはターボのせいで出力特性は画一的だが、その反面扱いやすいし、強烈にパワフルなのはいうにおよばずだ。
速度とギア段にかかわらず、排気量が小さいうえ240kgのハンディを背負う(本来「格下」のモデルであるにもかかわらずだ)このクルマはいとも簡単にCSLを引き離してしまう。