ロードテスト ポルシェ911 ★★★★★★★★★☆
公開 : 2019.06.16 09:50 更新 : 2019.07.02 10:11
おそらく世界一有名なスポーツモデルが、おそらく世界一厳しい自動車誌のテストに登場。その結果は、最新の911がやはり最良というものでしたが、感覚的にはスポーツモデルとしての物足りなさが感じられた部分もありました。
もくじ
ーはじめに
ースペック
はじめに
世界中で多くのファンに愛されてきたポルシェ911は、誕生から56年で8世代を数えるが、今も自動車業界において輝ける指針のひとつに数えられるクルマだ。ほかのメーカーが、この大名跡に学ぶことは多い。
それは、象徴となるものを慎重に扱い、ほかにはない個性を守りつつも、旧態化した部分や欠点は改善することである。また、ひとびとが何を愛するのかに耳を傾け、適切で、最新で、競争力のある状態でありつつ、スペシャルさが目減りしないよう維持することでもある。こうした原則にこだわることで、スポーツカーづくりにおいて永続的な利潤を得ることに成功できるだろう。さらには、それを自動車業界において誰もなし得ていない方法で行うことができるのだ。
それがいつもハマったわけではないが、それでも911はポルシェに大きな利益をもたらしている。よく言われるのは、シュトゥットガルトのSUVが稼いだ金が、世界レベルのドライバーズカーづくりに注ぎ込まれているという話だ。しかし、それは911の稼ぎっぷりへの評価としては、まったくもって不当なものだ。
マカンとカイエンが、ポルシェを25万台規模のメーカーに押し上げたのは事実だ。とはいえ、1990年台半ば、初代ボクスターが登場して、シュトゥットガルトがスポーツカーのプラットフォームを合理化しようとした頃から、911は同価格帯のスポーツカーの中では傑出した商売上手ぶりを発揮してきた。しかも、これほど長きにわたって繁栄を続けている例はほかにない。
すでにご存知かもしれないが、最新の911の技術面は、全面新設計ではなく、従来型のビッグマイナーチェンジとでもいうべき改良版といった内容だ。この992型に搭載されるエンジンは、先代となる991型のフェイスリフト版で導入されたフラット6ターボのアップデート版である。シャシーは剛性を向上しているが、それ以上に注目すべきは、ごくわずかに拡大されたボディが911初のオールアルミとなることだろう。サスペンションのチューニングやトランスミッションは見直され、同時にインテリアを刷新したことで現代的になっている。