初試乗 新型 ランドローバー・ディフェンダー・プロトタイプ 2020年リリース
公開 : 2019.08.10 09:50 更新 : 2022.08.08 07:55
2020年にまったく新しく生まれ変わるランドローバー・ディフェンダー。その堅牢性や信頼性、路面を選ばない走破性で、先代までの人気を引き継ぐことができるのでしょうか。英国の開発現場へ乗り込み、試乗する機会を得ました。
もくじ
ー世界の過酷環境を再現した発展途上国コース
ー迫るスロバキアの工場からのラインオフ
ーどんなランドローバーよりハードコアな走破性
ーアダプティブ・ダンパーに温度監視機能を追加
ーテスト用ロボットマシンで24万kmのテスト
ー新しいディフェンダー像を築き上げる
世界の過酷環境を再現した発展途上国コース
目下英国では、ブレグジットに対する世論の高まりが激しくなる一方だ。だが、タフなオフローダーの開発のために、英国のランドローバー本社のスタッフが、遥か彼方の秘境へと向かう必要はなくなったらしい。
JLR(ジャガー・ランドローバー)本社の自動車試験場には、深いわだちに大きな起伏、いくつもの大きな穴が空いた舗装路、泥や砂、グラベルの不整路が「整備」されている。通称、発展途上国テストコース。英国の湖水地方の森林だけでなく、アフリカのコンゴ民主共和国からインドとバングラデシュの国境地域まで、あらゆる環境の路面を再現した施設となる。
このテストコースがあるからこそ、ランドローバーは本物を生み出すことができる。そして、会社の名前にもなった、直接的な遺伝子を受け継いだクルマが、まもなく新たに誕生しようとしている。コードネームはL633、すべてが一新されたディフェンダーだ。
ランドローバー社の製品技術チームのリーダー、アンディ・ディークスが、先述の厳しいテストコースを激しくドライブする新ディフェンダーに同乗させてもらった。耐久性や信頼性の断片は確かめることができるだろう。
アンディのドライブは容赦ない。クルマは走行中も常に開発目的でデータ収集を続けている。他のスタッフはアンディ以上に攻めた走りをし、わずかなきしみ音でも静め、可能性があるすべてのトラブルを潰すために努力をしていた。少なくとも助手席から観察している限り、とても手際よくテストをしているようだ。
迫るスロバキアの工場からのラインオフ
もはや長い開発プロセスを経ている、新ディフェンダーのプレス発表は数週間先に迫っており、量産の準備も着々と進んでいるはず。スロバキアの工場からラインオフするということはわかっている。70年近くに渡って製造され、2016年に英国ソリフルの工場での製造が終了した先代のディフェンダーとはまったく異なる、新しいクルマだ。
ランドローバーによれば技術的な資料と広報用の文面は、もうすぐ発表されるそうだ。それから公式な写真が公開され、価格が決定し受注が始まる。それまではJLR社はもったいぶって、われわれの期待を高めるだろう。
まず体感できた部分は、新ディフェンダーのサスペンション。大きな入力や、車体がねじれるようなうねりの激しい路面をハイスピードで走行したとき、横方向の強い力が掛かったとき、どのようなボディコントロール性を示すのか。現段階での仕上がりは、すでに少々驚くほどのものだった。
「ランドローバーの大型モデルに採用する、アルミニウム製のプラットフォームを選択しています。D7Uと呼ばれるものです。プラットフォームには幅広い再設計や技術的な見直しがされていますが、モノコック構造という点は同じ。軽量で高剛性という点は重要です。もはやラダーフレームやリジットアクスルではなくなりました」 と説明するディークス。
激しい路面を脚まわりが処理し、キャビンの中は平静が保たれている。タイヤが蹴り上げる泥や石がクルマの底面に当たり、バラバラと音を立てている。新しい構造がゆえに、車内はとても快適で現代的。大幅に洗練性も高められた。車内にいる限り、世界で最も堅牢で走破性が高く、行く先を選ばないSUVに乗っているということが信じがたい。