EVの民主化 プジョー208 1.2プロトタイプ 初試乗 ステアリングは改良中
公開 : 2019.08.16 09:50
プジョーも熱い期待を寄せるBセグメント・コンパクト、新しい208は、優れたインテリアとダイナミクス性能を備えています。しかし、いくつか若干の改善点もまだ残っているとする英国編集部。フランスのテストコースで、プロトタイプに試乗しました。
もくじ
ー未来を退屈にさせないプジョー208
ーEVは便利な移動手段のひとつ
ー内燃エンジンモデルとの作り分けは最小限
ー改良途中のステアリングフィール
ープジョー205GTiの輝きを取り戻せるか
ープジョー208 1.2ピュアテック 130GTラインのスペック
未来を退屈にさせないプジョー208
新しいプジョー208の発表時に、プジョーはかつての205GTiも持ち込み、一緒に展示をした。多くのひとの記憶に残る名車だけに、大胆なアイデアだったと思う。またプジョーのデザイン・ディレクターを務めるギルス・ビダルは、セクシーで小粒なホットハッチ、208の「未来を退屈にさせない」というキャッチコピーも大胆だと話す。一昔前のプジョーが備えていた魅力を取り戻す自信がうかがえる。
今回はフランスのテストコース内でのプロトタイプ版となったが、新しいプジョー208と純EV版のe−208を試乗する、初めての機会となった。今年末の発売前には改めて試乗する機会があるだろうから、今回は具体的な点数付けはしないものの、色々と確かめることはできた。
新しい208を構成しているのは、グループPSAで共有する小型のモジュラー・プラットフォーム、CMP。シトロエンやDS、オペルなどの小型モデルのベースとなっているものだ。次期308やオペル・アストラなど一回り大きいモデルにも利用される可能性もあるが、それは各メーカーが決めている。
グループPSAの小型モデル向けのプラットフォームは2種類あり、小さい方は純EVにも対応。大きい方は、プラグイン・ハイブリッドと4輪駆動に対応する。A・Bセグメントが属する、スーパーミニ・カテゴリーの場合、前輪駆動と純EVが提供可能となるわけだが、どちらもディテールを観察しなければ、見分けが付きにくい。
EVは便利な移動手段のひとつ
つまり、電気モーターはあくまでもパワートレインの選択肢のひとつであり、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどと並列で、ユーザー側の環境で選んで欲しい、という、一歩進んだ考え方がある。EVはもはや環境意識への哲学ではなく、便利な移動手段のひとつ、というわけだ。
われわれがCMPプラットフォームを採用した量産モデルを試乗したのは、DS3クロスバックのみだが、少々妥協点が多すぎる印象があった。純EVの大きな魅力のひとつとして、ドライブトレインのレイアウトの自由度が高まり、車内空間を大きく取れるという点がある。CMPのように内燃エンジンとの共有を前提としたプラットフォームの場合、その点で不利なように思う。
一方でグループPSAが狙うところは量産効果による価格の維持。同じアーキテクチャからドライブトレインを柔軟に選べるということは、同じ生産ラインから、必要な数だけ作り分けることができる、ということでもある。
エンジンを搭載する208の場合は前輪駆動で、フロント・サスペンションはストラット式、リアはトーションビーム式となる。1.2Lの3気筒ターボガソリンの場合、最高出力が76psと100ps、130psの3段階。1.5Lディーゼルエンジンの場合は100ps、バッテリーを搭載した純EVは、136psという設定になる。純EV版のe−208も、内燃機関と同じタイミングで発売となる見込み。