ポルシェ・タイカンに初試乗 700ps/103.5kg-m以上 911に近い感覚
公開 : 2019.08.29 05:50 更新 : 2021.02.10 17:27
700psと4シーターを備えたドライバーズEV、ポルシェ・タイカンは、2020年の発売に向けて量産準備が着々と進められています。プリプロダクション・モデルを、ドイツ・シュツットガルトの一般道で、ついに試乗する機会を得ました。
もくじ
ー世界初の量産ドライバーズEV
ーターボで600ps、ターボSで700ps以上
ーポルシェらしいステアリングフィール
ーボディサイズからは望外のコントロール性
ー偉業と呼べるほどに現時点で最高のEV
ー ポルシェ・タイカン(ターボS・仮称)・プロトタイプのスペック
世界初の量産ドライバーズEV
理由はわかっているのだが、どうもしっくりこない。幸運にもモータージャーナリストをしている手前、毎週のように様々な土地へ行き、様々なクルマを運転している。だが、ポルシェ初となる純EVを運転した体験は、明らかにこれまでとは異なるものだった。
その理由は、電気というエネルギー源がポルシェにとっては水と油のように、相容れないもののようなイメージがあるためだろう。それでも、このポルシェ・タイカンが量産化され、世界初となる量産のドライバーズEVとなる将来が目前のいま、その影響力は計り知れない。ポルシェのやることだから、抜かりはないはず。
重要なクルマで、かつ正式に発表される前ということもあり、ここに書き出せる情報は非常に限られている。公式情報として存在するのは、2015年にポルシェが発表したミッションEVコンセプトに関わるものくらい。だが、かなりの情報はわたしの元へと伝わっており、残るは実際にタイカンを運転するばかり、という状況でもあるのだが、正式発表があるまでは具体的な評価は尚早だ。
少なくとも確認できているのは、ポルシェが所有する2台のタイカンが存在すること。恐らく実際には3〜4台は存在するはずだが、最近のポルシェ流のトップグレードから発表する順序を見る限り、残りのクルマは今回試乗したクルマよりパワーで劣るのではないかと思う。そして上級グレードとして、ターボとターボSと命名されるのではないかと噂される、この2台がある。EVだから実際にはターボチャージャーは搭載されないわけだけれど。
ターボで600ps、ターボSで700ps以上
この2台はどちらも90kWhのバッテリーを搭載し、ターボでも最高出力は600psを軽く超えるとされている。2.5秒有効な、オーバーブースト機能がどちらにも搭載される見込み。さらにターボSとなるはずのクルマには、セラミック・ブレーキに硬められた脚まわり、後輪操舵システム、21インチホイール、ハイパフォーマンス・タイヤが組み合わされる。タイカン・ターボSの最高出力は700ps以上、最大トルクは103.5kg-mに達するとされている。
予想通り車重は重く、2.25tもあるが、目を見開くほどに速い。2015年のミッションEの0-100km/h加速は3.2秒とされていた。恐らくタイカン・ターボSは3秒を切るだろう。
試乗車の車内はしっかり偽装が施されていたが、次世代水準の高精細映像技術が導入されることは明らかにされている。オプションとなる助手席側のインフォメーション・モニターを選択すれば、車内幅いっぱいのTFTモニターが装備されることになる。驚かされる雰囲気の車内になりそうだが、わたしが許された範囲で操作した限り、操作性は直感的で良好だった。
タイカンの静的な質感は充分に高い。4ドアボディの大きなボディを持つ重たいEVモデルでありながら、ポルシェがスポーティなドライバーズカーだと位置づける車内の居心地はいい。目を閉じるとポルシェ911に座っているかのように感じる。ポタンを押してスタンバイ状態にし、小さなレバーを倒して発進させる。ヴァイザッハにあるポルシェのテストコースから、一般道へと出る。