190psディーゼルの「ST」 フォード・フォーカスSTエステート2.0に初試乗
公開 : 2019.09.01 09:50
フォード・フォーカスの高性能グレードとなるSTにも、ディーゼルエンジンを搭載したモデルがあります。かつては日本でも通好みのモデルとして人気のあったフォード・フォーカスですが、欧州では今も支持は健在。南フランスで評価しました。
もくじ
ーディーゼルエンジンでも0-100km/h加速は7.7秒
ー急斜面でも余裕の低回転域でのトルク
ーグリップレベルやハンドリングは良好
ーエステートボディの大容量に燃費をプラス
ーフォード・フォーカスSTエステート2.0 エコブルーのスペック
ディーゼルエンジンでも0-100km/h加速は7.7秒
フォード・フォーカスの高性能グレードがSTシリーズ。2.0Lのエコブルー・ディーゼルエンジンを、ハッチバックとエステートでも選択できる。
今回取り上げるのはステーションワゴンのエステートで、フォーカスの中では最もパワフルなディーゼルエンジンを搭載したモデル。だが、2.3LガソリンのSTエコブーストが発生させる280psと比較すると、だいぶ大人しいスペックではある。
また、エコブーストを搭載したクルマでは選択できる7速ATは、エコブルーでは選択できず、組み合わされるのは6速MTのみ。車重も42kgもかさむから、パフォーマンスの面でもかなわない。フォードによれば、0-100km/h加速に要する時間は7.7秒だとしており、決して遅いとはいえないものの、エコブーストが5.8秒でこなすことを考えると、その差は明らかだ。
サスペンションは、フォーカスSTエステートに採用されるのは通常のパッシブダンパー。だがオプションでアクティブ・ダンパーの選択も可能。ちなみにハッチバックではアダプティブ・ダンパーが標準装備となっている。ディーゼルエンジンを選ぶと、知的な電子制御リミテッド・スリップデフも付いてこない。
そのかわり経済性ではエコブーストより優れている。フォードによる燃費は20.7km/Lとされており、価格も3万595ポンド(397万円)。エコブーストより2500ポンド(32万円)ほど安価だ。
急斜面でも余裕の低回転域でのトルク
ディーゼルエンジンのエコブルーを搭載したクルマが、ガソリンエンジン版と比較して動的に鈍く感じられることは、スペックを見比べても明らかではある。しかし、一般的なディーゼルエンジンを搭載したエステートと比較すれば、充分に優れた評価を得る内容となっている。
エグゾーストノートの重厚な響きが、エコブルーエンジンの魅力を引き立ててくれる。ガソリンエンジンよりも大きく重たいユニットがボンネットの中に収まっていることを、いっとき忘れさせてくれるだろう。エコブーストと比較すると最大トルクもやや細く、42.7kg-mに対して40.7kg-mなのだが、発生回転数は低く2000rpmから。回さずとも悠々とクルマを前進させてくれる。
レブリミットは5000rpmに設定されているが、そこまで積極的には回りたがらない雰囲気で、ノイズもかなり大きくなる。中回転域の太いトルクを生かして走らせるのが、最も幸せを感じられそうだ。今回のテストコースは南フランスのニース付近で、急斜面の続くエリアながら、エコブルーは4速や5速に入れたまま2000rpm以下の回転数でも難なく登っていくたくましさだった。
反面、スロットルレスポンスはエコブーストと比較すると明らかにダル。スポーツモードを選択しても、大きな変化はない。42kgの増えた重量のすべては基本的に前輪に乗っかっているため、電子制御デフなしでは潤沢なパワーを前輪にかけられない様子。一気に加速させてテールを軽快に追従させる、ということも難しい。