マツダ2(デミオ) 新旧を比較試乗 新型の価格/内装/走りを評価 ガソリンとディーゼル

公開 : 2019.10.13 20:10  更新 : 2021.12.28 00:16

マツダ2(旧デミオ)に試乗。新旧を比較しました。驚いたのは乗り心地の改善。ガソリン、ディーゼルの両方を評価します。写真43枚でレポート。

さようなら、デミオ

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Masanobu Ikenohira(池之平昌信)

アクセラのFMC(フル・モデルチェンジ)でマツダ3への車名変更を切っ掛けに他のマツダ車も海外展開車名に変更。デミオはマツダ2となったのだが、同時にMCが加えられた。

MC内容は定番の内外装のフェイスリフトと走行性能のブラッシュアップ、走行支援機能の拡充。GVCの展開が象徴的だが、マツダは以前から新機構や機能をいち早く普及させることに積極的。FMCを待たずに改良を加えてきたが、その点ではマツダ2へのMCは今ある最善のマツダ基準を再適合させたものと考えていい。

白が新型のマツダ2 15S Lパッケージ。灰が旧型のデミオ15Sミストマルーン。
白が新型のマツダ2 15S Lパッケージ。灰が旧型のデミオ15Sミストマルーン。

内外装の変化は掲載写真で一目瞭然。フロントマスクはラジエターグリル下桟からヘッドランプへと高輝度のメッキモールを配し、マツダ上級クラスと共通性の高いデザインとした。

改良新型の内装は?

内装は落ち着いた色調でまとめ、運転席電動パワーシートも設定。トリム関連に変更はないのだが、上級クラスのデザインセンスや装備を与えて小さな高級車としている。

クラス内相対評価ならマツダ車の中でも最もプレミアム志向が強い内外装である。

新型Lパッケージの試乗車は、シートがブルーグレー/グランリュクス・オフブラック。
新型Lパッケージの試乗車は、シートがブルーグレー/グランリュクス・オフブラック。

もう1つの改善は運転支援機能の向上である。

従来からACCは装着されていたが、MCでは停止までサポートする全車速型となった。車線維持支援は従来は警報のみだったが、新型では半自動操舵による車線維持機能が加わっている。

この他にパワートレインやサスペンションなどの基本走行ハードウェアにも改良が加えられ、車名変更も伊達ではないと思わせるだけのMC内容となっている。

2名+αが現実的 前席/後席

フロントマスクにしてもインパネまわりにしても、マツダ車は雰囲気も造形も共通点が多い。いきなり見せられると、「これはマツダの2、3、6 ???」となってしまう。

プロポーションとサイズが異なるので見間違いはしないものの、クラスやカテゴリーのコンセプトが二の次三の次ぎになったデザイン思想。しかもプレミアム感が基本なので、エントリーBセグメントのマツダ2にしてみれば、高級感が凄い! となる。

前後ともにダンパー特性を変更。リアダンパーはトップマウントをウレタン化。新型はしっとりと走る。
前後ともにダンパー特性を変更。リアダンパーはトップマウントをウレタン化。新型はしっとりと走る。

しかも光り物でがちゃがちゃ飾り付けるような高級の演出ではないのはマツダの巧みさ。大人向け高級ブランドの趣である。

ただし、雰囲気は上級クラスに負けないが、キャビンスペースは4名乗車にギリギリ。レッグスペースもヘッドルームも余裕がなく、大柄な男性の4名乗車は窮屈。付け加えるなら後席は視角的閉鎖感も強く、4名乗車頻度が高いユーザーには不向き。キャビン機能面での適応用途は2名乗車プラスα。

内外装のプレミアム感やキャビン機能からすればポストファミリーやリタイヤ世代向けのダウンサイジングには最適である。

走りの変化もこの用途への適性を向上させる要因の1つである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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