バッテリーとモーターをアップデート ルノー・ゾエR135 航続距離394km
公開 : 2019.10.24 09:50
日産リーフのようなワンペダル操作も可能
エントリーグレードとなるゾエR110には、マイナーチェンジ前と同じ107psを発生するモーターを搭載。今回試乗した、追加となったハイパワー版のゾエR135には、134psのモーターが搭載される。
新しい強力なモーターのおかげで、0-100km/hの加速時間は11.4秒から9.5秒へと短縮。最高速度も135km/hから140km/hへとわずかに増えた一方で、航続距離は少し犠牲となった。最大トルクはどちらのモーターも共通で、24.9kg-mとなる。
R135のパワーの増加分は、実際に運転してみると明確に体感できる。基本的な印象はマイナーチェンジ前と変わらず、決してハイパフォーマンスになったわけではない。だが従来以上に太いトルクを即座に利用でき、高速巡航時でもその力強さを味わえるようになった。
操縦性や乗り心地は、マイナーチェンジ前のゾエと大きな違いは感じられない。小気味良く軽快ながら、ドライバーへのフィードバックが濃いわけではない。低速域では全般的に乗り心地は良好だが、高速域になると不安定さを感じることもある。
第3世代のゾエには、日産リーフと似たワンペダル操作を可能とする、積極的な回生ブレーキの機能が追加された。「Bモード」と呼ばれるもので、キアe-ニロほどの包括性はないものの、アクセルペダルだけでクルマの運転を可能としながら、航続距離を伸ばすことにも有効だ。
依然として実力の高いルノー・ゾエ
回生ブレーキの強いBモードは特に、ゾエが前提環境としている都市部での走行に適している。軽く機敏なステアリングの操舵感と、少し高めの着座位置、全方向に優れた視界など相まって、クルマの魅力を引き立てている。ちなみにゾエの乗車定員は5名で、荷室容量は338Lとなっている。
都市部を中心に利用し、走行距離もそれほど長くないドライバーにとって、ルノー・ゾエは理想的なEVハッチバックだといえるだろう。第3世代へのアップデートによって、EV化の勢いが増す中にあっても、実力は一層高められたと感じた。
車両価格と航続距離という、純EVの選択時に重要視される基準で見た場合でも、ルノー・ゾエはライバルとの優位性を保っている。2020年に登場してくるライバルモデルとの比較までは結論を出すのは難しいが、やや古株なゾエながら、充分な実力が備わっているといえそうだ。
準備が整い次第、EVのライバルモデルを揃えたグループテストを行いたい。
ルノー・ゾエR135 ZE 50のスペック
価格:2万7620ポンド(375万円・英国の補助金適用後)
全長:4084mm
全幅:1730mm
全高:1562mm
最高速度:140km/h
0-100km/h加速:9.5秒
航続距離:394km(WLTP)
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:1502kg
パワートレイン:交流同期モーター
バッテリー:52kWhリチウムイオン
最高出力:134ps
最大トルク:24.9kg-m
ギアボックス:シングルスピード