【都市から郊外へ】フォルクスワーゲンe-Up! 航続距離260km マイナーチェンジ

公開 : 2019.12.11 09:50

フォルクスワーゲンの中で最もコンパクトなEVとなるのが、欧州では2013年に発売が開始されていたe-Up!。バッテリー容量が増えたことで、都市部での移動手段として以上に利便性は大きく広がりました。スペインでの評価です。

バッテリー容量倍増で航続距離260km

text:Matt Joy(マット・ジョイ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
フォルクスワーゲンで最も小さな都市部向けのスモールカーが、2011年に登場したUp!。そのUp!をベースに、フォルクスワーゲンとして初めての量産純EVとなったのが、2013年に登場したe-Up!だ。

Up!のクルマとしての実力は高かったとはいえ、EVのe-Up!の場合はバッテリー容量が鍵を握っていたといって良い。初期モデルの航続距離は限られていた。

フォルクスワーゲンe-Up!
フォルクスワーゲンe-Up!

2019年にまったく新しいID.3を発表したフォルクスワーゲン。時の流れとともにEVの位置づけは大きく変化し、e-Up!にも最新のEV技術が投入されることとなった。

最も大きな変更点が、36.8kWhにまで容量が増やされたリチウムイオン・バッテリー。マイナーチェンジ前の容量は18.7kWhだったから、ほぼ倍になったことになり、航続距離も大きく伸延している。フル充電で最大260kmまで走行が可能となった。

角型だったバッテリーセルはパウチ状へと変更され、エネルギー密度を高めていながら体積は20Lも小型化している。一方で電気モーターの出力には変わりなく、83psの瞬間最高出力と21.5kg-mの最大トルクを得ている。

オプションで対応となる欧米規格のCCS急速充電器を用いれば、1時間で空の状態から80%まで充電することが可能。一般的な7.2kWの交流充電器を用いる場合、同じ条件なら4時間でまかなえるという。

瞬間最高出力83psのモーターは従来どおり

マイナーチェンジした新しいe-Up!は、エアバックが6カ所に増え、レーンキープ・アシストも標準装備となる。2019年のフランクフルト・モーターショーで発表された新しいブランドロゴが用いられる、初めての量産車ともなる。

e-Up!の基本的な構成は従来どおりで、見慣れた印象だ。ボディやインテリアのデザインに小さな変更が加えられているが、ややプレミアム感のある価格にふさわしい、上品さを備えたコンパクトモデルに変わりはない。

フォルクスワーゲンe-Up!
フォルクスワーゲンe-Up!

モーターの瞬間的な最高出力は83psとなっているが、継続して発生できる最高出力は54psとなるのも従来どおり。21.5kg-mの最大トルクは、スタート時から得られる。

マイナーチェンジに合わせて、e-Up!には3種類のドライブモードが追加された。エコ、エコ+では、省エネの目的でパフォーマンスが抑えられ、エアコンの出力も弱くなる。トランスミッションはシングルスピードで、回生ブレーキの効きの強さには4段階のモードが用意される。

リチウムイオン電池は体積が小さくなりつつ、重量は15kg増えている。そのため、ガソリンエンジンのUp!と比較すると車重は200kg重いことになる。

バッテリーは主に床下に搭載されるため、重心は低い。モーターは低回転域から最大トルクを湧出してくれるから、走り出しでは重量差を感じることはさほどないだろう。

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