【先代より8割増しで綺麗】新VWゴルフ2.0 TDIに試乗 8代目にもディーゼル
公開 : 2019.12.23 09:50
8代目となった新ゴルフに、ディーゼルエンジンの悪評を刷新するために誕生した新世代TDIを搭載。低回転域でやや粗さを感じるものの、その有益性は明らかといえそうです。ポルトガルで評価しました。
前世代に比べて窒素酸化物を80%削減
数年前まで欧州では、優れた走行性能や燃費、運転のしやすさを求めるドライバーは、ターボディーゼルを搭載したフォルクスワーゲン・ゴルフを選んできた。
英国の道にもディーゼルのゴルフが溢れていた。やや出だしの鈍いクルマではあったが、多くのメリットが補い、価格も納得できるものだった。しかし世の中を騒がせた不正に関しては、多くの読者が知るところだと思う。
それからの選択肢といえば、1.5LのガソリンエンジンとなるTSI。スムーズに回転するダウンサイジング・ターボで、8代目になった新ゴルフにも採用され、電圧48Vのマイルドハイブリッドが組み合わされている。
電動化が進む中で、ディーゼルエンジンがかつての高支持率を得ることはないだろう。だがフォルクスワーゲンの技術者によれば、8代目ゴルフに搭載される新しいTDIは、同排気量のガソリンエンジンより排気ガスがクリーンなのだという。
環境に優しいディーゼルを実現しているのが、尿素の二重投与システム。アドブルー液の噴射口を触媒の上流側に2つ設けることで、排気ガスの広範囲の温度に対応。窒素酸化物の濃度は、前世代のエンジンに比べて80%も削減しているそうだ。
かなり大掛かりなシステムにも見えるが、新しいゴルフは非常に環境に優しいことは間違いない。燃料消費も少なく、ドライバーのお財布にとってもメリットはある。
まだ具体的な燃費は公表されていないが、先代のTDIユニットと比べて17%も向上しているという。つまり、WLTP値でも21.0km/Lは超えてくることになる。
素晴らしいMQBシャシーの精度
驚くほど優れた燃費を実現しているのが、EA288エボ・エンジン。型式は先代と共通しているが、機械的な損失を大幅に減らし、中身は全面的に新しくなっている。
ロードテストで検証する必要はあるものの、現在の8代目ゴルフの中で最も燃費に優れているグレードがTDIとなるだろう。来年には248psを発生するプラグイン・ハイブリッドのGTEも登場する予定だが、長距離を走った際の燃費ではTDIの方が有利かもしれない。
新しいTDIの排気量は2.0L。最高出力は110psと150psの2段階が用意され、実用性と経済性重視の人と、8代目のシャープなルックスに見合う馬力を求める人との、両方の希望を叶えてくれる。
トランスミッションは、7速デュアルクラッチ・オートマティック(DCT)か6速マニュアルを英国では選べる。今回試乗したのは7速DCT版で、最高出力は150ps版。最大トルクは36.7kg-mと太く、1750rpmから湧出する。
走り出してみると、運転は安楽であっさり味。過去のTDIとも共通する雰囲気が残っている。過度に燃費重視のDCTのプログラムはガソリンエンジン版では相性が悪いが、ディーゼルエンジンなら好印象。太い低回転域のトルクによって、ほとんどの場面でスムーズに走る。
前回試乗したマイルドハイブリッド版の1.5 eTSIでも同様だったが、強化されたMQBシャシーの精度が素晴らしい。コーナリング時では、カーブ外側のダンパーが引き締まり、内側のダンパーが柔らかくなる設定が与えられ、旋回性を高めている。
フォルクスワーゲンでこの足さばきをするモデルは初めてだと思う。明確なアンダーステアに持ち込むには、かなり負荷を掛けなければ難しい。