【1200kmでも疲れ知らず】マクラーレン720S(3) ジュネーブへ小旅行 長期テスト
公開 : 2019.12.27 11:50 更新 : 2019.12.27 13:45
極めて優れたコーナリング性能を備えたマクラーレン720S。世界でも最も優れたドライビングマシンの1台で有ることには間違いありません。そんなスーパーカーと毎日を満足して過ごすことはできるのか、長期テストで確認します。
積算4483km ランボルギーニ・アヴェンタドール
マクラーレン720Sを穏やかなクルマに感じさせるモデルは数少ない。ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJはそんな1台だった。720Sを超える濃密な感覚に、遥かに魅力的なサウンドが楽しめる。
それでも運転のしやすさや居心地の良さ、目的地への移動スピードで考えれば、わたしの運転の場合はマクラーレンの方が速い。しかも10万ポンド(1400万円)以上安価だ。
積算6910km ジュネーブに720Sで向う
筆者はスイス・ジュネーブから1200kmほど離れた英国の町に住んでいる。マクラーレン720Sのようなクルマなら、これくらいの移動は丁度いいランニングになる。
ほとんど毎年のように、ジュネーブで開かれるモーターショーへ向う時は飛行機を利用する。しかし今回は陸路を選んだ。合計2日間を掛けて往復移動することに疑問もなかった。一緒に移動する同乗者も誘わなかった。
筆者にとって、1人での長距離ドライブほど楽しいものはない。クルマが良いほどその楽しみは大きくなり、自己中心的になる。
もし定員4名のクルマなら、タダでスイスへ移動できるわけだから、誰も誘わないという選択はしにくい。しかし2シーターのマクラーレンなら、1人分の荷物を乗せるだけで車内はいっぱいだという言い訳ができる。午前3時に出発するとなれば、逆に誘いにくい。
1人なら好きな音楽を好みのボリュームで聞ける。「次のサービスエリアに寄ってコーヒー休憩しません?」 という厄介な誘いをされることもない。
高速道路では快適 山道では夢中
というわけでマクラーレン720Sに乗って午前3時に出発し、午後3時にジュネーブに着いた。その12時間はとても素晴らしいものだった。
最も印象強く感じたのが、マクラーレンの過ごしやすさ。乗り心地は美しいと呼べるほど滑らかで、エンジンは充分に静か。周囲の視界も驚くほどに良い。
細かいことだが、ブルートゥースやエアコン、シートヒーターやタッチモニターなど、使い心地が良いことも重要だ。ナビゲーションのグラフィックが時代遅れだが、案内はしてくれる。
計器モニターも素晴らしいが、通常はメイン画面を倒して、バータイプのレブカウンターとスピードメーターのみが表示される状態にして運転している。長距離移動をする場合、不要な情報を隠した方がリラックスできるし、目の疲れも少ない。
1人で走る楽しみとして、山にへばりつく道を選べるということもある。フランスのディジョンからスイスのジュネーブに向かうには、南回りでなだらかなマコン経由の道も選べるが、ドール方面に走り、山を超えるというルートもある。もちろんわたしはドールへ向かった。
移動したのは日曜日だったから、道路はサンデードライバーで荒れ模様。山道を走った方が、720Sにとっても安全だったと思う。
小旅行で他のスーパーカーでは得られないであろう、素晴らしい走りを確かめることができた。長距離の高速移動をたやすくこなせる高性能なクルマはいくつかあるし、カーブの続く山道で夢中になれるクルマも少数ながら存在する。だが両方を叶えているクルマは、そう多くはない。