【試乗 M・ベンツGLCクーペ改良新型】新グレード、GLC 300 人気SUVの内装/走りを評価

公開 : 2019.12.28 20:50  更新 : 2021.12.28 00:11

マイナーチェンジ版GLCクーペを、日本で試乗。新規グレードの「GLC 300 4マティック」です。総額924.8万円のSUVクーペ、走り、快適性の評価は?

GLCクラスのクーペ版

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)

車名のとおり、GLCのクーペ仕様であり、日本には2016年から導入されている。このマイナーチェンジ(MC)では、内外装のフェイスリフトとともに「ハァイ、メルセデス」でお馴染みのインフォテインメントシステムのMBUX採用や安全装備の拡充などの最新ベンツ車同様のアップデートが行われた。

母型とも言える標準ボディの「GLCクラス」は、CクラスをベースとしたクロスオーバーSUV。と言ってもCクラス・ワゴンに対してホイールベースは35mm長く、全長は50mm短い。ざっくりした計算値ではキャビン高(厚)は15cm以上増加。CクラスをSUV風に再設計したというより、要素を用いてSUVに仕立て直したと捉えたほうが正しいだろう。

安定感のあるワイドなフォルムとなり、精悍な顔つきのエクステリア。
安定感のあるワイドなフォルムとなり、精悍な顔つきのエクステリア。

GLCクーペが何であるかは、その「GLC」と外観を比較すれば一目瞭然だ。

「GLC」のルーフラインは緩やかな曲線を描きながらほぼ水平にリアピラーへと繋がる。GLCクーペはセンターピラーから下がり始めてリアゲートへと連続するファストバック風のデザイン。

テールランプ周りのデザインも異なる。

内装 ヘッドクリアランスは?

後席や積載性を蔑ろにしたと言っては語弊があるが、GLCクーペが前席優先のモデルであることはスタイルが雄弁である。

ただし、「嵩張るアウトドアギアを積んで」というのは無理があっても、一般的な用途には十分な実用性を備える。

コクピットにはホールド感の良いスポーツシートのほか、スポーツステアリングやラバースタッド付きステンレスペダルが装備される。
コクピットにはホールド感の良いスポーツシートのほか、スポーツステアリングやラバースタッド付きステンレスペダルが装備される。

視角的圧迫感や乗降時の頭抜けに気を使うが、ヘッドクリアランスやレッグスペースは男性にも十分であり、見た目に比べて実用性への配慮も利いている。趣味性と実用性のバランスしたモデルでもあるのだ。

試乗車はGLC300 4マティック・クーペ。このMCで追加された新モデル。

AMG仕様を除いた上位設定モデルであり、258ps/37.7kg-mを発生する2Lターボを採用し、電子制御エアサスを標準装着。内外装や装備だけでなく、ハードウェア構成もプレミアムSUVに相応だ。

最低地上高は?

このルックスで、どのくらいの悪路踏破性を示すか興味深かったのだが、試乗ルートにはオフロードコースも林道もない。

カタログに記される最低地上高は160mmとなっているが、これは社内測定値であり、かなり控え目の数値に思えた。下まわりを見ても轍や段差跨ぎなど悪路走破の要点となる部分では180mm超級の印象。

緩やかな曲線のルーフラインからリアエンドまでの流れるようなラインは、ファストバック風なデザイン。
緩やかな曲線のルーフラインからリアエンドまでの流れるようなラインは、ファストバック風なデザイン。

加えて電子制御エアサスには車高アップのオフロードモードが備わり、4WDシステムは一輪が浮いた状態でも接地輪に駆動力を伝えるスリップコントロール機能があり、ハードクロカンはともかくとして、アウトドアレジャー用途を前提としたSUVに相応な悪路踏破性を期待してもいい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記