【挑むのは物理的な法則】アウディRS Q8試乗 ウルス共通のV8ツインターボ 600ps
公開 : 2019.12.30 10:20
アウディ史上最も高性能なSUVといえるRS Q8は、ニュルブルクリンクでクラスレコードを樹立しています。そんなスーパーSUVで一般道を走るとどんな印象なのか、スペイン領の小さな島で確かめました。
ニュルブルクリンク7分42秒253
アウディ最新の高性能フラッグシップモデルとなるRS Q8。最近の例に沿うように、アウディの頂点を飾るのも大型SUVとなる。
クーペ・スタイルをまとった、プレミアム・ブランドによるオフローダーの超高性能バージョンとなり、ニッチ中のニッチモデルともいえる。独占的な存在にも思えるが、親戚関係にあるポルシェ・カイエン・クーペ・ターボのほか、BMW X6コンペティションやメルセデスAMG GLEクーペ 63 Sなど、すでにライバルは少なくない。
このアウディRS Q8には先日、ニュルブルクリンクを激しく周回するプロトタイプへ同乗する機会を得ている。7分42秒253というラップタイムを記録し、SUVクラスでの最速モデルとなったことはご存知の読者もいるだろう。
アウディのエースドライバー、フランク・スティップラーがドライブする横で、RS Q8の驚くほどの速さを体感した。コーナーでもスピードが落ちることがないように感じられるほど。
それでも実際に自身の手でステアリングホイールを握るまでは、確かな印象を得ることはできない。今回は大西洋に浮かぶスペイン領の小さな島、テネリフェ島まではるばるやって来た。島の中心部には標高3718mのテイデ山がそびえ、壮観な景色の中に素晴らしい道路が広がっている。
RS Q8はベースモデルのQ8から大幅に手が加えられている。ボディデザインは、かつてWRCグループBで圧倒的な強さを見せたアウディS1クワトロに影響を受けたとのことだが、説明を聞かなければ類似性は感じ取りにくい。
運動性能を支える4輪操舵システム
エンジンは、ポルシェ・カイエン・ターボやランボルギーニ・ウルスにも採用されている、4.0Lツインターボ・ガソリン。最高出力600ps、最大トルク81.4kg-mを獲得している。ポルシェ・カイエンより強力だが、ランボルギーニ・ウルスよりは抑えられている。
マイルド・ハイブリッドでもあり、12kWの出力のスターター・ジェネレーターも搭載。気筒休止システムも採用する。
トランスミッションは8速ATで、クワトロと呼ばれる4輪駆動。標準ではフロント40%、リア60%というトルク配分で走るが、最大80%までをリアタイヤへ分配できる。さらにアクティブ・トルクベクタリング機能を持つリミテッド・スリップデフがトラクションを高める。
アダプティブ・エアサスペンションは専用チューニングで、オプションとして、ポルシェやベントレーにも見られる電圧48Vのアクティブ・アンチロールシステムも選択できる。トレッドはフロントで10mm、リアが5mm拡大した。
ホイールサイズは標準が21インチだが、試乗車にはオプションの23インチを装備。タイヤの幅は直径を問わず295mmだ。
4輪操舵システムは、上級トリムグレードのフォーシュプルングには標準装備。低速域ではフロントタイヤと逆向きに5度までリアタイヤが切られ、60km/hを超えるとフロントタイヤと同じ方向に1.5度まで角度を変える。
RS Q8を高速で走らせてみると、4輪操舵システムがクルマの運動性能を握っていることがわかる。アンダーステアを抑え込みつつ、ボディ後半が鋭く向きを変え、このサイズや車重では考えられないほどに機敏な走りを実現させている。