【スーパーチャージャドV8】ジャガーFタイプ P575 AWD R 575ps 限りある余命
公開 : 2020.02.17 10:20
ジャガーFタイプがマイナーチェンジ。4輪駆動とV8スーパーチャージャーを搭載し、最高出力は575psに達します。2040年に内燃エンジン自動車の販売禁止が発表された英国に残る希少な伝統と個性を、英国編集部が評価しました。
もくじ
ー正真正銘の2シータースポーツ
ーいましか味わえない575psのFタイプ
ー駆動系も足回りも大幅に手直し
ー5.0Lスーパーチャージャーの腕力と個性
ー思わず欲しいと思わせるV8エンジン
ージャガーFタイプ P575 AWD Rのスペック
正真正銘の2シータースポーツ
ジャガーFタイプが登場したのは2013年だった。英国として、自負するべきブランドから生まれたFタイプ。正真正銘の2シーター・スポーツという存在は、永遠の憧れだ。
ジャガーには長年に渡ってXKというスポーツカーをラインナップしてきたが、Fタイプは代替わり以上の意味が込められていた。ジャガーを創業したウィリアム・ライオンズが生み出した、伝説的なEタイプの後継車であるということを、その名前が明示している。
英国らしくスーパーチャージャーを搭載し、ジャガーとしての成功を狙っていた。ポルシェが生んだ強敵、911と勝負を挑むことを目的としていた。正直、Fタイプの事前の触れ込みは、少し過大評価気味だったようだ。
登場から月日は過ぎ2020年。ジャガーFタイプのようなドライバーズカーたちが、控えめな中身へと推移していることに、気持ちが動かさざるを得ない。クルマ全体に変化の波が及んでいる。
ガソリンエンジンやディーゼルエンジンだけでなく、ハイブリッドを搭載したクルマでさえ、前倒しして2040年までに新車販売を禁止すると英国政府からの発表があった。ご存知の読者もいるだろう。
2035年頃が1つの潮目になると思われる。仮に内燃機関への課税制度が変化し、経済的なメリットがさらに薄くなれば、EV化の流れはより早く来るかもしれない。大幅なフェイスリフトを受けたFタイプには、まだ流れが及ばなかったようだ。
いましか味わえない575psのFタイプ
環境問題を考えれば、EV化は避けることができない。内燃エンジンの消滅は、世の中のエンスージァストにとって、悲しい世界の訪れを意味する可能性もある。
Fタイプのようなモデルが存在できる残り時間は、少ないことは明らか。最新Fタイプのスペックを知れば、今しか味わえない内容だということが見えてくる。
エントリーグレードに積まれるのは、300psの2.0L 4気筒エンジン。クーペのスターティング・プライスは5万4060ポンド(773万円)で、BMW M2コンペティションやアルピーヌA110やポルシェ718ケイマンなどと直接のライバル関係にある。もちろん、最もエキゾチックなユニットではない。
それでも2.0L 4気筒という存在は、Fタイプにとって重要。ドライバーからの人気も高く、環境負荷も比較的少ないおかげで、V8エンジンの存続をジャガーに決断させることができたのだ。
ジャガー製の5.0LスーパーチャージドV8エンジンは、従来までは6万9990ポンド(1000万円)の価格設定で、450psと59.0kg-mを発生させていた。欧州市場などではスーパーチャージドV6エンジンは、ラインナップから置き換わっている。
ジャガーとのエンジニアと会った時、後輪駆動の450psエンジンを積んだクーペが、Fタイプのスイートスポットだと話していた。おそらく正しいのだろうけれど、筆者はまだ試乗していないから、彼の意見に留まるけれど。