【クルマ好きが作るEV】ポールスター2 プロトタイプに試乗 407ps 航続距離500km
公開 : 2020.02.25 10:20
限定モデルとなるポールスター1に続く、純EVモデルとなるのが「2」。より一般ユーザー向けのEVは、市場拡大につなげることができるでしょうか。英国編集部は最新EVのプロトタイプに試乗する機会をスウェーデンで得ました。
もくじ
ーツインモーターが生み出す67.2kg-mのトルク
ー名門、オーリンズ製ダンパーを採用
ー運転が楽しめるポールスター2
ーインテリアの仕上げは既に高水準
ー興奮の得られるEVになれるか
ーポールスター2 プロトタイプのスペック
ツインモーターが生み出す67.2kg-mのトルク
スウェーデン・ヨーテボリから自動車で1時間ほど東に走ったところにある、ヘラーレード試験場。初試乗となるポールスター2を体験するのに、丁度いい場所のようだ。緩やかに風の吹く森に囲まれた静かなテストコースで、新しいEVの概要を確かめる。
プラグイン・ハイブリッドとなるポールスター1と異なり、ポールスター2は純EV。WLTP値での航続距離は500kmにも達する。その視界のど真ん中には、テスラ・モデル3があるはず。
広々とした試験場なら、ポールスター2の有するパフォーマンスを充分に発揮するのに不足ない。2基搭載された電気モーターが発生する最大トルクは67.2kg-mもある。実に、日産GT-Rより太い。しかも、アクセルを踏んだ瞬間から沸き立つのだ。
だが物静かなヘラーレードは、ポールスター2が目指すところを理解するのには、少し不自然でもある。価格は4万9900ポンド(713万円)からが予定され、これまでのポールスター1の価格の35%程度。
職人による手作りで、1500台の限定となるグランドツアラーのポールスター1は、13万9000ポンド(1987万円)。ポールスター2は、われわれに身近な、都市部を走る大量生産モデルでもあるからだ。
ポールスター2の生産が行われるのは、ポールスター社の親会社であるジーリー・ホールディング社が保有する、中国、台州市の工場。駆動用バッテリーは、韓国のLG化学が製造する。
電気モーターはドイツのシーメンス製。英国コヴェントリーに大きな研究開発センターを開設したばかり。サプライチェーンを知るほど、グローバルな自動車だとわかる。
名門、オーリンズ製ダンパーを採用
ボディは筋肉質で目を引くデザインをまとう。世界各国の流行発信地で存在感を放ち、都市の景観を美しく彩るに違いない。だが、今回試乗する場所は、スウェーデンの森の中。
プロトタイプに触れれば、ポールスター社の真髄がつまびらかとなる。「ドライバーが初めにシャシーから感じ取る部分は、ステアリングフィールです」 シャシー技術を率いるエンジニアの、ヨアキム・ライドホルムが話す。
明確なゴールを目指して穏やかに話すが、情熱はイタリア人並みに熱そうだ。「ステアリングと調和するように、サスペンションが機能します」 シャシーはわずかにオーバーステア気味に設定してあるという。
手動で調整するタイプのオーリンズ製ダンパーの減衰力特性を、120種類にも渡ってテストしたとのこと。その度に脱着作業が発生し、ハードウエアの設定変更も必要となる。
「近道はありません。いいクルマとして優れた操縦性を得ることは簡単なことではありません。人間はとても敏感な動物で、計算だけで導き出すことはできません」 聞いていて嬉しい言葉だった。クルマにとって大切にするべき部分だと思う。
ポールスターは、オシャレなディーラー網を構えない。落ち着いた「スペース」が用意される。クルマの注文は、オンラインのみで受け付ける。最先端の見た目と、ゼロ・エミッションの駆動システムを備え、一般市民の間で話題となるだろう。