【3シリーズに近い操舵フィール】BMW 220dグランクーペに試乗 2.0Lディーゼル
公開 : 2020.02.28 10:20
3シリーズで高評価を得たディーゼルエンジンを搭載した2シリーズのグランクーペ。ターゲット層は気にすることはないとしつつ、前輪駆動という事実を隠したい側面も見え隠れする様子です。ポルトガルで評価しました。
320dや520dと同じ2.0Lディーゼル
BMWの社内でも、数年前までは前輪駆動の異端児的に見られていたらしい。だがここに来てBMWのエントリーモデルは、ボディをリアタイヤで押すのではなく、フロントタイヤで引っ張るタイプで満たされつつある。
新しい2シリーズのグランクーペは、前輪駆動が前提となるFAARプラットフォームをベースにしている。X1やX2、ハッチバックの1シリーズなどと共通だ。
エンジンは直列4気筒を横置き。今回の220dは、発表の時点では唯一のディーゼルエンジン・モデルとなる。
欧州や日本市場で人気が根強い3シリーズ・サルーンの弟的な位置づけで、クーペを想起させるようななだらかに傾斜するリアエンドが特徴。ドアは4枚で、リアシートの足元空間は、2ドアクーペの2シリーズよりは広い。
その新しい2シリーズの2ドアクーペは、後輪駆動で追って登場する予定だ。
前回ご紹介したトップグレードとなるM235iは、パートタイム4輪駆動を採用し、小さなボディには十分以上の最高出力306psを獲得していた。だが220dとエントリーグレードとなる218iは前輪駆動のみとなる。
220dに搭載されるエンジンは、320dや520dに搭載されているものと基本的に同じツインターボで、横置きレイアウトとして手が加えられたもの。189psと40.7kg-mを発生させる。
0-100km/h加速は7.5秒。組み合わされるトランスミッションは、ディーゼルモデルとしては唯一の選択肢となる、8速ATだ。早速走り出してみよう。
3シリーズに近いステアリングフィール
スポーツコメンテーターなら、220dの仕上がりはハーフ・ハーフと表現するかもしれない。少し古いかもしれないが。
220dグランクーペを日常的なスピードで走らせている限り、従来的な後輪駆動のBMWに近い印象が得られる。機敏で旋回性に優れ、親しみを感じるだろう。
ステアリングフィールは、重み付けや反応で3シリーズとの近さを醸し出している。走行性能もかなり活発だといって良い。
ディーゼルエンジンは素晴らしい印象の残った320dより、わずかに元気なサウンドを鳴らす。だが高負荷を掛けない限り、とても静か。
ハーフスロットルでの加速は、目をみはるほど力強い。8速ATが、最もトルクの太い中回転域を保ちながらスムーズに変速を繰り返すから、エンジンは気張ることなく、速度を高めていく。
シフトパドルを弾いてマニュアルモードでの変速も可能だが、4000rpm以上引っ張ってもさほど効果はない。レブリミットまで滑らかに吹け上がるものの、最高出力は4000rpmで発生するためだ。
基本的にシャシーのセッティングは柔らかめだが、荒れた路面では明確な量の上下動を発生させていた。テスト車両にはオプションのアダプティブ・ダンパーが装備されていたものの、英国仕様車には用意されない。
スポーツ・モードを選ぶと、鋭さを強めることなくボディの動きは引き締められる。標準の固定式ダンパーの設定がどの程度なのかは、実際に試乗するまではお預けとなる。