【マクラーレン比較試乗動画】F1 vs P1 vs セナ 25年経っても色褪せない魅力
公開 : 2020.03.04 18:50
1994年、われわれはマクラーレン初のロードカーであるF1のロードテストを行いました。それから25年が経過した今、当時と同一個体のF1とともにその血統を引き継ぐP1とセナを用意し比較試乗をしてみました。速さでは現代の2台が勝りますが、最高のドライバーズカーとしては今でもF1に分がありそうです。
25年前のテストと同一個体
今回のテーマはマクラーレン・アルティメット・シリーズだ。P1とセナは現代のモデルだが、われわれは25年前にもマクラーレンF1をテストしている。当時はシリーズ分けがなかったばかりか、マクラーレン唯一のロードカーであった。当時マクラーレンにテストを認められたのはわれわれAUTOCARのみだったのだ。
現在でも実際に使われているF1は全64台のうち5,6台にすぎない。今回の個体であるXP5もそこに含まれ、われわれの撮影のため3年ぶりに出て来たのだ。現在ではおよそ2500万ポンド(36億円)もの値がつくという。
ドライビングポジションもうまく決まっており、真ん中にいるという違和感はない。両脇に用意された小ぶりなシートも使えば、必要とあらば2人まで乗せられる。視界もすばらしく、操作系の重さも完璧に設定されている。特殊なドア形状により乗り降りはしやすいが、車内のカーボン製レールをまたぐのにやや難儀するだろう。
後ろに搭載されるBMWモータースポーツ製の6.1L V12NAエンジンは635psを発生、最大トルクは66.2kg-m以上となる。アクセルを開けたときのレスポンスはまさに規格外、そのサウンドも圧倒的だ。また以前のテストによる加速タイムは0-97km/hが3.2秒、0-161km/hが6.3秒、0-274km/hでもわずか17.2秒だ。トラクションコントロールはなく、手動での変速が必要にもかかわらず、最新の720Sと1.5秒しか変わらないのである。
P1はモーターの存在をアピール
F1をテストしてから20年後、2014年にわれわれはP1の試乗を行なっている。今乗ってみてもこれが7年前のクルマとは信じがたいほどにフレッシュかつモダンなクルマだ。最近のマクラーレンらしく多数のモードが用意され、それぞれに明確な特徴が与えられている。モーターの存在を隠そうとするHV車もある中で、マクラーレンはそれを逆手にとってあえて電気の力を強く感じさせているのだ。
搭載される3.8Lツインターボは最近の他のモデルと概ね同一だが、専用設計の強化ブロックによりHVシステムに対応する。単体で737psを発生、これにモーターによる178psが付加され合計915psを誇る。サウンドはもちろん自然吸気のそれとは異なるが、ターボやモーターによるこんな音も良いだろう。
F1は20年以上前のクルマながら、今でもベンチマーク的存在だ。しかしP1はそれよりもさらに速いのである。0-97km/hは2.8秒、0-161km/hは5.2秒だ。ロードテストをした当時、わたしがそれまで乗った中で最速のクルマであった。
直線でとても速いばかりか、ステアリングも見事の一言だ。サーキットで数ラップしたら返却したくなるクルマもありますが、P1の場合は毎日乗れるひとが羨ましく思いました。トラックデーに持ち込んだらとても楽しめるでしょう。アジャスタビリティ溢れるゴーカートのようでもあり、とても真面目に作り込まれている。