【なぜ?】走りが変わっていないCX-5/CX-8の「試乗会」 マツダがあえて開いたワケ

公開 : 2020.03.05 10:50  更新 : 2021.10.11 13:50

マツダはCX-8/CX-5の「試乗会」を、われわれメディア向けに開催しました。試乗会、といえども、走りは変わっていません。一方で目で見て、手で触れる部分を体験できました。南陽一浩がレポートします。

エクスペリエンスの質が年次改良前のモデルと比べても向上した

text:Kazuhiro Nanyo(南陽一浩)
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)

2月某日、横浜のマツダR&Dを拠点に「CX-8」と「CX-5」の試乗会が行われた。マイナーチェンジでもなく、年次改良にしても不思議な時期に、あえて既存モデルの試乗会という点に、少しひっかかりながら参加してきた。

両モデルとも試乗車は、昨年末から今年初にかけて投入された年次改良仕様だが、CX-8は「プロアクティブSパッケージ」のスカイアクティブD、つまりディーゼルのパワーユニットにレザー内装の仕様。

マツダCX-8プロアクティブSパッケージ
マツダCX-8プロアクティブSパッケージ

加えて今回は静的評価のみながら、2列目にキャプテンシートを採用しつつナッパレザーをおごった「エクスクルーシブ・モード」という特別仕様車だった。

一方のCX-5は、「25T Lパッケージ」のスカイアクティブG、つまりガソリン仕様のレザー内装を公道で試乗。

加えて「XDシルクベージュ・セレクション」という新しく追加された、明色の合成皮革&スウェード調素材のコンビ内装に触れてきた。

早い話、見えるところだけでいえばハイエンド内装を1モデル2種類、追加パッケージを含めて乗って触って試す、というワケだが、それでもエクスペリエンスの質が年次改良前のモデルと比べても向上したことを示すのが、この試乗会の目的のようだ。

実際、レザー内装は黒が人気というのは世界的に日本ぐらいのもので、暗色でも微妙なトーンあるいは明色インテリアを、マツダが提案する意義は大きい。

視覚や触覚に直接影響する内装は、クルマの印象を大きく左右するのだ。

国産車離れしたインテリアの質感、大人が落ち着ける内装として合格点

まず「CX-8プロアクティブSパッケージ・スカイアクティブD」に乗りこんでみる。

シートやダッシュボードはブラックでありながら、センターコンソールとドアパネル両側のアームレストにはダークチョコレート色のブラウンレザーが張られている。

CX-8プロアクティブSパッケージの内装。
CX-8プロアクティブSパッケージの内装。

ブラックも真っ黒というより、少し赤みを帯びた濃い目のチャコールグレーといった温かいニュアンスだ。

こうしたトーンの微妙な差異は、乗せられた人はよく見れば気づくという程度で、控えめ趣味のオーナーなら満足度は高いはず。

クロームのインサートに引き立てられた質感も上々で、国産車離れした、欧州車に近い雰囲気といえる。

さらに華やかな雰囲気が好みなら、インテリア全体でチョコレートブラウンが優勢で、ナッパレザーを用いた「エクスクルーシブ・モード」がある。

シートバックそのものの造形がSパッケージと少し異なるが、これは2列目にもベンチレーション機能を備えた電動スライド&リクライニングのキャプテンシートを採用したがため。

人生のミニバン期を卒業した、大人中心の家族には明らかに分割可倒式の2列目ベンチシートより適しているだろう。

いずれも、ルーフ部の制震性を高めて雨音などを低減したり、センターディスプレイを7インチから8インチへ拡げている。

また2列目ベンチシートでもキャプテンシートでも、3列目の乗降がしやすくなるよう、スライドスイッチのワンタッチ化が図られた点が、おもな改良だが、その差異は細部だけにとどまらない。

記事に関わった人々

  • 前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。

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