【どちらを選ぶべき?】メルセデスAMG A 45 Sの新車 vs 日産GT-Rの中古車 前編
公開 : 2020.03.14 09:45
いまや驚くべきプライスタグを掲げたホットハッチなど珍しくないかも知れませんが、今回はメルセデスAMGから登場したA 45 Sと、同じくらいの価格で手に入れることの出来るユーズドGT-Rの対決です。いずれもが素晴らしいドライバーズカーであることを証明してくれました。
どこまで高騰?
ホットハッチというコンセプトが完全に失われてしまうまでに、この本来は慎ましい姿をしたハッチバックベースの俊足モデルの価格はどこまで高騰するのだろう?
最近ではルノーが7万2000ポンド(1040万円)以上というプライスタグをかかげて登場した、カーボン製ホイールを履いた究極のハードコアモデル、メガーヌRSでこの命題に挑もうとしている。
ホットハッチとしてはまさに驚異的な価格だ。
これほどの金額で実用性を無視したモデルを手に入れたいと思うのであれば、ほとんどが新車のポルシェ718ケイマンGT4や、ほとんど使用歴のないロータス・エキシージ・スポーツ410を選ぶだろうことを考えれば、やり過ぎだと言わざるを得ない。
さらに、こうしたモデルであれば周囲のひとびともそれほど困惑せずに済むのだ。
だが、いままさにメルセデスAMGが新たな挑戦者として名乗りを上げようとしている。
それがこのA 45 Sであり、5万570ポンド(730万円)というプライスタグ(オプションを満載した今回の車両価格は5万6570ポンド/817万円だ)を掲げたこのクルマはいま、われわれお気に入りの大きく波打つ荒れた路面のB級路を舞台に追撃を受けている。
このクルマは十分な速さを備えているのだろうか?
どんな場面でもという訳ではないが、スーパーカーを打ち負かすだけの能力は備えている。
別のカテゴリー
ではこのクルマは高価だろうか?
確かに。
それでも1985年にランチア・デルタS4ストラダーレを手に入れたいと思えば、当時の価格で5万5000ポンド、いまの価値なら16万7000ポンド(2411万円)を支払う必要があったのだから、メガーヌRSトロフィーRのことを常軌を逸しているなどとは言えないだろう。
だが、こうしたデルタやメガーヌとは違い、A 45 Sは奥深きAMGのラインアップでは決してトップに君臨しているモデルというわけではない。
デルタと同じようなボディスタイルを持つこの新型メルセデスにもホモロゲーションの香りを感じるかも知れないが、例えそうだとしても、先代モデルがBTCCに参戦して以来、Aクラスにモータスポーツの実績はなく、レースとは無縁の存在だ。
フォルクスワーゲン・ゴルフRといったモデルのライバルとして登場した3万8000ポンド(549万円)のプライスタグをかかげたA35と比べると、A 45 Sは別のカテゴリーのクルマだと言える。
巨大なウイングと拡大されたトレッド、艶やかで力強いボディに取り付けられた各種ブラケット、そして、ホットハッチ史上最強というべき世界基準のパワートレイン。
さらに、このクルマにはカナードまで装着され、82mmという驚くべき口径の4本出しのマフラーが、オプションのリアウイングとのバランスを取っている。