【最もワイルドなカイエン】ポルシェ・カイエン・ターボS Eハイブリッド試乗
公開 : 2020.03.14 10:20
プラグイン・ハイブリッドを搭載したパワー自慢が、カイエン・ターボS Eハイブリッド。電気のみでの走行距離は30kmが確保されています。英国編集部は、パワフルでも、走りの楽しさは通常のカイエン・ターボに及ばないとしています。
今やポルシェを支えるのはSUV
つい先日、最もワイルドなポルシェ911が発表された。通例通り、ターボ過給され4輪駆動システムと大きなウイングを備えた、911ターボSだ。
最高出力650ps、0-100km加速2.6秒。膨らんだヒップで、大型トラック並みの全幅を持ち、911ターボらしい姿をしている。
だが、現代のポルシェという会社は、以前とは異なる。ブランドを保つために一級のスポーツカーを製造する、SUVが屋台骨の自動車メーカーとなってしまった。2019年を見ると、カイエンとマカンの生産台数は20万台にも及ぶのに、それ以外のモデルは8万台程度でしかない。
そんなSUVで最もワイルドなモデルが、12万3349ポンド(1763万円)の英国価格を下げたカイエン・ターボS Eハイブリッドとなる。PHEVのシステムは、パナメーラ・ターボS Eハイブリッドに搭載されるものに準じる。
カイエン・ターボS Eハイブリッドを英国で試乗するのは今回が初めて。システム総合の最高出力は680psで、最大トルクは91.6kg-m。その大部分は、フロントに搭載された4.0LのツインターボV8ガソリンエンジンが生み出す。
電気モーターも加勢したパワーは、8速デュアルクラッチATへと伝達。最大トルクは、ATの許容量の限界にかなり近いという。仮にATの許容値が増えれば、117.3kg-mくらいは出せるらしい。
停止状態から100km/hに達する時間は、新しい911ターボSより、わずかに1秒遅いだけ。ほとんど馬鹿げているほど速いSUVだが、これだけではない。
オーバステアに寛大で、とてつもなく速い
トランク下には14.1kWhの容量のバッテリーが搭載され、最大で30kmの距離を電気の力だけで走行できる。二酸化炭素の排出量は、85g/kmを主張する。加速の鋭さと同じくらい、信じられないような数字だ。
カイエン・ターボS Eハイブリッドの訴求力は高い。オーバステアにも寛大で、とてつもなく速い。
これほどのパンチ力を備えた大型SUVは多くはない。ディーラーで買えるオンロードメインのSUVとして、最高のモデルだといって良いだろう。
車重は車内が空の状態でも2490kgもある。通常のカイエン・ターボより315kg重いが、ドラッグレースではアウディRS6アバントに肉薄するダッシュ力を見せつける。有効なトルクと、シームレスなシフトアップが、車重をカバーするのだ。
加速が終われば、2つの動力源が協働して提供する、安楽な走りに驚かされる。基本的にEVモードでスタートし、エンジンは可能な限り動かないように努める。高速道路での定速走行や街なかでは特に。充分にスムーズで力強いから、力不足も感じない。
V8エンジンが目覚める時の唸り声は小さくない。少々デフォルメされたように、エンジンがボディへ強い鼓動を与える。
ドライブモードのハイブリッド・モードは、ドライバーのスタイルに上手に順応。特にエンジンを停止させるタイミグを、ちゃんと捉えてくれる。アクセルペダルの踏み込みに合わせて、必要なパワーを不足なく提供してくれる。
カイエン・ターボS Eハイブリッドは、他のSUVと変わらず運転がしやすい。しかも他のカイエンと同様に、ステアリングは正確で姿勢制御にも優れている。