【都市部で輝くSUV】ボルボXC40リチャージPHEVへ試乗 システム総合262ps

公開 : 2020.03.17 10:20

高い人気を各国で得ているボルボXC40。その人気を後押しするであろう、プラグイン・ハイブリッド版が英国にもやって来ました。すべてのドライバーがメリットを受けられるわけではないとしつつ、評価は上々といえそうです。

最大45kmを電気の力だけで走行可能

text:Simon Davis(サイモン・デイビス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
思わず好奇心をそそられる、プラグイン・ハイブリッド版のボルボXC40リチャージ。だが、必ずしもメーカーにとっては、喜ばしい側面だけではない。

EUの掲げる厳しい二酸化炭素排出量の削減目標は、2020年から有効となる。PHEVは、自動車メーカーにとって、量産モデルの平均のCO2排出量を減らす確実な方法といえる。

ボルボXC40リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5(英国仕様)
ボルボXC40リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5(英国仕様)

従来的な内燃エンジンから純EVへと移行する足がかりにもなる。一方で2035年以降すべての新車は排気ガスを出していけないのなら、膨大な開発費用を掛けても、PHEV技術はすぐに役に立たないモノにもなり得るということ。

とはいえ、少なくとも、PHEV版XC40リチャージのアピール力は強い。82psの電気モーターと、10.7kWhのバッテリーを搭載することで、このXC40は最大45kmの距離を電気の力だけで走行できる。

電気がなくなれば、180psの3気筒ターボエンジンが目覚め、フロントタイヤを駆動する。こまめに充電さえすれば、1750kgもあるSUVを、わずかなエネルギー代だけで走らせることが可能となる。

日本の社宅のように、英国では一般的な会社からの貸与車両の場合、税制面でも有利。このXC40リチャージのCO2排出量は、グレードによっては47g/kmと低い。同等のディーゼルやガソリンエンジンを搭載したXC40と比べると、大きなメリットが得られる。

たとえオーナーが充電をサボって、長距離を普通のクルマのようにエンジンで走らせても、税金の優遇は変わらない。納得できない部分もあるが、それが今の自動車を取り巻く世の中だ。

秀逸なデザインは従来どおり

個人的に所有する場合でも、XC40 PHEVの訴求力は高い。第一に、通常のXC40と変わらず、見た目が素晴らしい。PHEV化で与えられた変化は小さく、フロントフェンダーに充電ポートが追加されている程度。

車内に乗り込んでも、上質なラウンジのような空間がわれわれを包んでくれる。試乗車は暗めのインテリアカラーだったが、前席も後席も空間の放つセンスは秀逸。素材の質感は全体的に向上しており、高級感がプラスされている。

ボルボXC40リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5(英国仕様)
ボルボXC40リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5(英国仕様)

フロントシートが硬めなのも従来どおり。もう少し座面が長い方が、サポート性も上がると思う。

ステアリングコラムもシートも、調整代は大きい。運転席からは優れた視界を確保でき、快適なドライビングポジションを見つけられるだろう。

バッテリーが完全に充電された状態で、デジタル・ダッシュボードに表示されたEVモードでの航続距離は33.8kmだった。ボルボの主張より10km以上短い。

特に急がなければ、リラックスしたまま電気の力だけで発進する。モーターのトルクは16.2kg-mで、1700kg以上の車重があるから、加速力が鋭いわけではない。でもアクセル操作に敏感に反応し、不満なく小さなSUVのスピードを乗せていく。

ブレーキペダルの感触も良好。一方で電気モーターからガソリンエンジンへ主役が引き継がれる動作は、期待ほどスムーズではない。特に、クルマの備えるパワーを一気に引き出したいと、右足に力を込めたとき。

アクセルペダルを踏んでいき、耐えきれずガソリンエンジンが始動するまでに、反応の遅れを感じる。エンジンが目覚めて、動力を伝えるべく7速ATが最適なギアを選ぶのにも、少しの時間を要する。

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