【AMG製SUVの頂点】メルセデスAMG GLS 63 V8+マイルドHVで625ps

公開 : 2020.03.26 10:20

豪華な7シーターSUVに、妥協知らずのV8エンジンを搭載したGLS63。他のSUVでは味わえないような鋭い加速と機敏な身のこなしだけでなく、上質な乗り心地も兼ね備えています。主要市場の北アメリカで評価しました。

4.0L V8ツインターボ+マイルドHV

text:Yoshi Kimura(ヨシ・キムラ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
増え続けるメルセデスAMGのハイパフォーマンスSUVの中でも、先輩格に当たるGLS 63。3代目のGLSをベースとし、北米で生産される。搭載するエンジンは、AMG製の4.0LツインターボV8だ。

時流に合わせて電圧48Vによるマイルド・ハイブリッドを採用し、電気モーターのアシストによる動力性能と燃費の向上を図っている。エンジン単体での最高出力は611ps/5750rpmとなり、エネルギーの回生もまかなう電気モーターの出力は22ps。

メルセデスAMG GLS 63 4マティック+(北米仕様)
メルセデスAMG GLS 63 4マティック+(北米仕様)

システム総合での最高出力は625psで、AMG製の9速ATと4輪駆動システム、4マティック+を介して突き進む。先代のGL 63が積んでいた、廃盤となった5.5L V8ツインターボより48psもパワフルだ。

エンジンの最大トルクは86.3kg-m/2250-5000rpmとなるが、25.3kg-mのトルクを持つモーターと協働し、フルスロットル時には短時間ながら111.7kg-mにまで高めることもできる。

0-100km/h加速は4.2秒。最高速度は249km/hでリミッターがかかるが、オプションのドライバーズ・パッケージを選択すれば280km/hにまで引き上げることも可能。このパッケージでは、タイヤも最高速度に合わせて変更を受ける。

車重2555kgもあるGLS 63だが、アクセルオフ時のコースティング機能や、減速時のエネルギー回生など、いくつかの燃費向上手段が盛り込まれている。だがWLTP値での燃費8.3km/Lと、273g/kmというCO2の排出量は、褒められる数字とはいいにくい。

スポーツカーのように鋭く加速する

シャシー面では車速感応式の電動パワーステアリングやアダプティブ・エアサスペンションを採用。ブレーキはフロントが400mmのスチール製ディスクに6ピストン・キャリパー、リアには370mmのディスクにシングルピストン・キャリパーが組み合わされる。

ドライブモードのAMGセレクトには、いつものコンフォートとスポーツ、スポーツ+、インディビジュアルに加えて、オフロード用の2種類が追加。トレイルかサンドを選べば、最低地上高は55mm上昇し、エンジンとシャシーの設定は路面に最適化される。

メルセデスAMG GLS 63 4マティック+(北米仕様)
メルセデスAMG GLS 63 4マティック+(北米仕様)

エクステリアの変更点で目を引くのが、パナメリカーナ・スタイルのフロントグリル。フロントバンパーはスプリッター部分が強調された、新デザインとなっている。

ヘッドライトはLEDが標準。ホイールアーチは広げられ、片側2本出しのツイン・マフラーカッターと大きなリアディフューザーが、後ろ姿もアグレッシブなものに仕立てている。

GLS 63を一般道で走らせてみる。7シーターのラグジュアリーSUVが、まるでスポーツカーのように鋭く加速し、またたく間に高速域へと到達する。ほかのSUVではなかなか味わえない。交通標識の読み取り機能が付いていて、思わず出しすぎたスピードを教えてもくれる。

その加速を支えるのが、電気モーターも加勢する3桁の最大トルク。1500rpmを超えれば充分に湧出し、AMG製の大型SUVへ新次元のパフォーマンスを与えている。立ち向かえるのは、ライバルモデルの中でもベストと呼べる仕様を持つクルマだけだろう。

スポーツ・モード以上を選べば、アクセルペダルをわずかに踏んだだけで充分な前進力が得られる。気がつけば高速巡航で目的地への距離を削り、エグゾーストから響く美しく深みのあるバリトンボイスの伴奏が心地いい。

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